青い帽子の子ども
投稿者:ユウナ (3)
私が幼い頃の話です。当時、キリスト教系のボランティア団体に参加していました。
そのボランティア団体は、毎年スキー旅行を企画していて、私と姉妹や友達関係で、毎年のようにその旅行企画に参加していたのでした。
私たちが泊まるホテルは、普通の民宿風のホテルで、団体客用に建てられた、古い物でした。
その向かい側にはもう一つホテルがあったのですが、築50年は経っていて、創業当時の看板がそのままの、なにか怖い雰囲気を醸し出していました。商いをしているかどうなのかもわかりませんでした。
私の姉が私たちが泊まるホテルに入ろうとした時です。姉が、そのホテルのほうを向いたまま、立ち止まりました。
私はどうしたのかを聞くと、姉は、こんなことを言い出しました。子供がこっちを見ていた、と。
私が振り向いた時にはもう、姉のいう子供はおらず、その時はあまり気にしていませんでした。
今思えば、姉の見たその子供の事が、あの不思議体験のはじまりだったのかもしれません。どこか怖くて、どこか不思議な体験です。
さて、全員スキーに行って帰ってきて、スキー庫にいた時のことです。
年長のグループリーダーがメンバーの数を数えていました。
すると、メンバーが辺りを見回しました。まだ、メンバーが一人揃っていないのです。
なのに、リーダーはメンバーは6人、と数えました。メンバーは全員で6人。今は5人しか揃っていないのに、6人確認したというのです。
リーダーに話をよく聞いてみると、存在しないはずの、青い帽子の存在がありました。
メンバーの中には、青い帽子の子供はいません。では、リーダーの見た青い帽子の子供はどこにいたのでしょうか?
狭いスキー庫の中です。もしいれば、すぐにそこにいるのだと確認できるはずです。ですが、その子供はどこにもいませんでした。
遅れてスキー庫にやって来た、残りの子供がやっと皆の話に混ざりました。
そこで、奇妙な話をまた聞くことになりました。
その青い帽子の子供が、スキー庫の中に入っていくのを、見たというのです。
見慣れないと思って、不思議に思ったのだけれど、他の団体の子供かと思ったということでした。
皆、不思議がったり怖がったりしましたが、当の青い帽子の子供はどこにもいないので、夕食までには忘れてしまったのでした。
夕食後、夜になりました。夜には、何かグループごとに催し事が行われます。私は、近くのスキー場までの散歩の班です。
あの、向かいにある古いホテルの近くのスキー場です。
以前は、そこは個人のスキー場だったようです。
懐中電灯を片手に、手袋をしても手がかじかむほど、外は寒くて、だんだんと雪も降ってきました。
昼とは違い、がらんとしたスキー場は怖くて、でもわくわくしたのを覚えています。あまり寒くならないうちに、帰ることになりました。
帰りの道、目の前100m先くらいに、車が停まっているのが見えました。
行きの道でもあったそれは、雪のせいで少しぼやけて見えます。
車のテールランプがついていて、人がいるようです。
雪深くなる前に、知らせようということになりました。
その時、小高くなったスキー場の上のほうに、かなりぼやけて見えますが、青い帽子の子供がこちらを見ているのがわかりました。
一瞬、全員が言葉をなくしました。しかし、誰かがその子供に対して声を発しました。危ないよ、と。
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