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心霊

陶芸参謀さんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

心霊体質なS君の行方
短編 2021/11/11 18:52 3,001view
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前回話したS君の話です。
僕たちは高校生のころから20代半ばまでバンド活動をしていました。

ちょうど25歳前後になった頃、僕はバンドの他に新しい夢が見つかり、そっちに専念したいということでバンドをやめることにしました。

S君は気難しい性格で、人付き合いがあまり得意ではありませんでした。
唯一の友人は僕だけといっても過言ではありません。

そんな僕がバンドをやめて離れて行くということにショックを受けたみたいで、かなり消沈していたのを覚えています。

それから数ヶ月後、バンドをやめた僕は実家を出て一人暮らしを始めました。

するとS君から「心霊スポットにいこうよ。俺が車で迎えにいくから」とメールが届きました。

かなりの神経質でビビリだったS君がなぜか心霊スポットにハマっていて、ネットで調べたスポットをしらみ潰しに制覇し始めていたのです。
千葉のどこどこに一人で行ってきた…とか、そんな話もしていました。

僕がS君から離れたことで、ちょっと頭がおかしくなってしまったのか?と思いましたが、いつものようにゲームや映画、漫画の話で盛り上がったり、特に変わった様子はありませんでした。

僕とS君は千葉県、埼玉県と色々な心霊スポットに行き、撮影をする。
そんな生活をしばらく続けました。

ある日、今日は埼玉の所沢方面にある某スポットへ行こうという話になり、夜遅くに車で向かいました。
林道を走らせた奥地にある廃墟です。

周辺に潰れたラブホテルや食堂をいくつか見かけましたが、その心霊スポットは元旅館のような場所でした。
草はボーボーに生えていて、ヤブ蚊に刺されまくり、僕はもう嫌になって「もう帰ろう」とS君に言いました。

しかしS君は「いいよ。じゃあ俺一人で行くから」と言い出し、本当に一人で建物の中に入っていきました。

僕ともう一人の友人がいたのですが「アイツマジかよ…」と一緒に呆れていました。

10分もしないでS君が戻ってきて、「何もいなかった」と言ってその日はすぐに帰宅しました。

それから3日後、S君が僕のアパートに遊びにきました。
S君は顔がやつれていて元気がなさそうでした。

実はS君は以前から鬱病っぽい傾向にあって心配していたのですが、その日もメンタルが落ちていてほとんど何も喋りませんでした。

「夜、眠れねえんだよ…」とか「家中からラップ音がする」みたいなことを言っていました。

過去にS君は憑依された経験があり、僕は確実に「また取り憑かれたな…」と思っていました。

そういえば…3日前に心霊スポットに行った。そのことを思い出し、「S、お前あの心霊スポットで何か連れて来ちゃったんじゃないのか?」と言うと「そんなワケねえだろ!!」と大声を上げ怒りだし、帰ってしまいました。

実はこれがS君と最後の会話となってしまいました。

S君はその後、行方不明になってしまったのです。

僕や家族だけでなく、幼少の頃から一緒だった地元の友人がS君を探しましたが、S君は姿を消したまま現れることはありませんでした。
その翌日のことです。

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