対向車線の真ん中に立つ白いジャージを着たおじさん

以前勤めていた職場の人から聞いた話です。
仮にその人をSさんと呼ばせて頂きます。

Sさんはとある地方出身で、若い頃はよく夜中に車でドライブをして地元の友だちたちと遊んでいたそうです。

その日は他県にある心霊スポットに行こうという話になり、Sさんは自分の車で集合場所に行きました。
しかしたまたま全員に用事ができてしまい、断られてしまったのです。

誰も来ないと分かったSさんは家に帰ろうと思ったそうですが、それも退屈なのでなんと一人でその心霊スポットに行くことにしたそうです。

深夜12時過ぎに一時間ほどかけてその心霊スポットへ向かいました。

周囲は木々に囲まれていて、本当に何もない真っ暗な道だったそうです。

心霊スポットの前に立ったSさんは、当時持っていたガラケーで周辺を撮影して、友達に送って怖がらせていたそうです。
さすがに一人で中に入る勇気はなかったらしく、そのまま車に戻って帰ることになりました。

真っ暗な山道を通り、ある国道を走っていた時のことです。
対向車線の真ん中に白いジャージを着たおじさんが立っていたそうです。
何か旗のようなものを持っていたと行っていました。

緊急事態か何かと思ったSさんは、車を止めておじさんに話しかけました。

「大丈夫ですか？事故か何かあったんですか？」
しかしおじさんは何も答えませんでした。
無表情のままSさんを見つめているだけです。

何度話しかけても無視をするので、Sさんは「キ○ガイか…」とアクセルを踏んでその場を去りました。

しばらく走っていると、後ろから光が差し込んでくるのに気づきました。
車が来ているのかな？とサイドミラーを確認すると、先程のおじさんが車の真後ろに立って、旗を上げていたそうです。
Sさんは車で、おじさんは徒歩です。

ありえないことが起きたSさんは「この世のものじゃない」と気付き、ひゃああ！！と叫びながら猛スピードで友達の家に駆け込んだと話していました。

それ以来、Sさんは心霊スポットは絶対に行かなくなったそうです。