鏡の自分と目が合わない

鏡ってなんとなく、力が宿っているようなイメージがありますよね。そしてよく怪奇現象が起こりやすい印象もあります。学校の怪談とかで鏡にまつわる話って多い気がしませんか？そんな鏡で私は地味に怖い体験をしたことがあります。それは私が家で学校に行く準備をしているときでした。本当に何も考えずに何気なく私は、部屋にあった化粧台の鏡を見たんです。

特にメイクをしようとしたわけでもなく、理由もなくそこにあったからふと見た感じでした。そしてものすごい違和感を感じました。
何故って？それは鏡の中の自分と目が合わなかったからです。人間思考力が落ちているときってあります。私もこのとき、朝起き立ちだったこともあり、しばらく違和感の正体が突き止められずに、悶々としながら自分を見ていました。最初は頭が働いていなかったのか違和感の原因がなかなか分かりませんでした。

しかし、じっと見ていたら思い出したように目が合わない自分とかちっと目が合ったのです。その瞬間にぞぞぞっと鳥肌が立ちました。おかしいんです。いや、さっきまで可笑しかったんです。鏡は自分を映すものだから自分が自分の目を見たときに目が合わないはずがありません。しかし、ほんの数秒間ですが私は鏡の中の私と目が合いませんでした。鏡の中の私はよそを向いていたのです。

気づいてから冷や汗が後から後からだらだら出てきました。「え？今のは何？」と顔色が悪くなっていく私がそこにいました。まだこの体験は一度っきりしかしていませんが、毎回鏡を見るたびに「目が合わなかったらどうしよう」と怖くなってしまいます。あの日一瞬だけよそを向いていた私は鏡に映った自分以外の別のものだったのでしょうか。