ゆっくりとターンする女の子の正体
投稿者:法隆寺 (1)
私が20年ほど前に体験したお話です。怖くて不思議な体験は林間学校2日目夜の出来事でした。
小学校行事の林間学校(地元では「野外活動」という言葉が親しまれていました)で、地元県内にある離島に行きました。
その離島には体育館やキャンプ施設、広々としたグランド(遊具等は無い)等を有する施設があり、その施設で2泊3日の工程が組まれていました。
施設到着後は、レクリエーション→飯盒炊飯→入浴→キャンプファイヤー→テント宿泊といった流れで1日目を終えました。2日目もほぼ同じ工程を済ませ、夜は同施設内にある公民館のような建物にある部屋に宿泊しました。
消灯時間となり、部屋の明かりを消し布団に入りました。
同室になったクラスメイトは私を含めて男子6名。やんちゃで元気なA君/B君、勉強熱心で頼れるC君/D君、大人しいけどみんなと仲良しE君。布団は2列3行で並べられ、頭が合わさるように敷かれていました。
消灯後、お互いの顔が薄っすらわかる程度の明るさの中、ヒソヒソといろんな話をしていました。
消灯時間から2時間程経過した頃、A君が言いました。「E、顔に枕の跡付いてるぞ、寝てだろ(笑)」。円筒型の大きめのビーズが入った枕で頬に跡が残っていました。
B君も「寝てたわ、でも目覚めたわ(笑)」と言い、話の輪に入ってきました。
厚い雲が流れて月の光が差し、それまで判別が難しかった互いの顔がはっきりわかるくらいに室内が明るくなっていました。
B君がカーテン越しに明るい月を覗きに向かいました。するとB君が、「女の子立ってない?」と皆に問いかけてきました。
怖がらせるための悪ふざけだろ、わかったわかった、という雰囲気が流れましたが、A君に続きC・D・E君、最後に私も窓外を覗きました。
確かに「女の子」が遠くに見えるグラウンド中央に立っていました。
同級生とは違う、となぜか判別できるその「女の子」は、白いワンピースのような服とつばの広い麦藁帽を被っていました。
月明かり照らされ、上空を向いてその場でゆっくりターンしていたように見えました(オルゴールに付いている人形みたいな動きがイメージに近いと思います)。
6人全員同じ女の子を認識していました。次第に誰も会話しなくなり、途端に怖さ・不気味さを感じたため6人一斉に布団に戻ったことをよく覚えています。
怖い体験はここまでですが、帰宅後に視たTVニュースで合点がいきました。
『戦争の悲惨さ、見つかる。」といった見出しだったと記憶しています。
内容は私たちが宿泊した施設の裏手にあった敷地の地質調査中に人骨が複数体分みつかったこと。
鑑定の結果、第2次世界大戦時代の人骨だと判明したことが放送されていました。
もしかすると、あの「女の子」は長い間土の中で誰にも見つからず、何十年先でやっと外に出られたことを喜んでいたのかな、と思いました。
怖いと感じていた思いがフッと軽くなったことを今でも思い出します。今までの人生で一度きりの、怖くて不思議な体験でした。
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