幼少期のお墓参り
投稿者:3pack (2)
もう30年以上前の話、とある瀬戸内の母の実家に帰省していた私が遭遇した出来事である。
毎年、東京の家から母の実家に帰省するのだが、その年だけは妙に印象が深かった。理由は分かりやすく、日航ジャンボ機123便墜落事故が起きた年だからである。
母に当時のことを聞いてみると、毎回、私達家族は羽田から大阪の伊丹空港を経由して、実家の四国に帰省してたこと。日にちも一緒で私達の乗ってた2便後が日航ジャンボ機墜落事故の123便だったこと。中々のニアミスに近かったのである。
しかも、キャンセル待ちで飛行機に乗ってたから、「場合によっては乗ってたかもね」と、こともなげに言うのである。当時帰省した母が日航ジャンボ機墜落事故をニュースで見たときは、母も母の周りも大変驚き、その時ばかりは神仏に深く感謝しようと、しっかりお盆の墓参りをしたと話していた。
そして母は言うのである。「あの時のお墓参りで不思議な事をあなた言ってたのよ?」と、全く持って記憶にないのだ。あの大きな飛行機事故の事ですら、忘れていた位の脳味噌の小さい私は母が言う不思議な事の記憶なんてある訳が無い。
仕方ないので、さらに当時の帰省の話を聴くと、墜落事故に合わなかったのはご先祖様のお陰であり、また亡くなられた方の慰霊を兼ねて、今年は念を入れてお墓参りをした事。
その墓参りの途中に私が突然、変な事を言い出し始めた事を言われて、やっと思い出した。記憶の片隅に追いやられていたが、当時の光景が浮かび上がったのである。
実家の近くにある先祖代々のお墓は地方としては結構な有名な霊園として存在しており、江戸時代からの有名人なんてのも弔われている。
墓の形も大小様々で、形としても珍しいものがあり、何故か当時の私はその墓の形に興味が湧いてしまったのである。苔むした墓等を見ていると、一つの墓に違和感を感じる。
どこかおかしい、変哲もない墓なのだが、妙に気になる場所がある。
そう、その墓には引き出しが付いていたのだ。石の墓の中央部分に小箱程度の引き出しにつまみがついており、引っ張る事が出来そうなのである。
案の定というか、私少年はノブをツマミ引っ張る。怖いもの知らずである。
そうすると、コッコココと引き出しが勝手に閉まるのである。まさかのオートメーション機能の搭載に驚きつつも、面白がって、何回も引っ張って勝手に閉じてを繰り返してたのである。
当時の私は母に「引き出しがついてるお墓がある」などと言ってたらしいが、それどころでは無く、その引き出しは勝手に閉まり、しかもそれで遊んでいたなんて…全く持って、脳みそが軽い少年だったのであろう、そして今になってそれを思い出す私もまた、脳みそが軽い中年なのだろうという話。
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