「僕のセイバータイガーの爪返してください」

「このたびは〇〇様と息子の清の縁談をご承知くださいましてありがとうございます」

（○○と言うのは私の苗字です）

と大声でしゃべり始めました。

「？？？？？？」

私がパニックになっていると

「本日はお日柄もよろしく、婚約のしるしとして結納の品々をご持参致しました。幾久しくお納めください」

と母親がしゃべり続けるのです。

「いや、どういうことですか？なんなんですかこれ？」

私が強めの口調で大家の奥さんに言うと

「何ってめでたいことじゃない、結ばれるって言うことは」

満面の笑みを浮かべて奥さんは私に言いました。

まともじゃない…..

急に背中に冷や汗が流れ

耳がカーっと熱くなりました

一刻も早くこの場を離れなければ

とはいうもののあまりの出来事に思考も体も完全に停止してしまっていました。

その間にも

「すみませんねー清今着替えてて　遅くなちゃって」

と母親が言い出し

大家夫婦も満面の笑みで

「まあまあ清ちゃんも緊張してるんでしょう」

「ははあはっはははっハハッは」

と談笑し続けています

現実とは思えない状況の中、動かない体とは反対に目だけが彼女等の一挙一動を観察していました

すると

ちらっと目の端に違和感があるものが写った気がしました

ちょうど談笑している母親の後ろあたり