シキホールの黒魔術師(校正済)
投稿者:たかぴろん (4)
パーボは別の医師にも当たりましたが、みんな判で押したように同じようなことを言いました。
パーボさん、あなたは健康そのものです。異常は見られません。
精神科医にも見てもらったが、やはり彼は何も患っていませんでした。
最後に怪しげな民間療法にすがりついたものの、お金を失っただけで期待した結果はもたらされませんでした。
パーボの妻をはじめ、多くの人々が彼を案じました。
パーボ本人は、ある特定の時間がくるまでは至って元気なのです。
しかしその時間がくると、喉を押さえて藻掻き苦しみます。
パーボの妻がまともに見ていられないほど、激しく。
ある日、パーボの友人があることに気づきました。男の言うには、パーボが苦しむとき、決まって海が満潮になっているのだといいます。
それを確かめるべく、妻は夫が溺没に苦しむ間、外に出てフィッシュポンドの様子を見に行きました。
すると、確かに水位は溢れんばかりに上がっています。念のため平時に足を運んでもみましたが、やはりそのときは水位が下がっていました。
パーボが息絶えたのは、それから数日の後でした。
パーボはベッドの上で亡くなりましたが、なぜかベッドは水でずぶ濡れ、床も水浸しだったそうです。
さて、ビボは念願のフィッシュポンドを手に入れ、贅沢三昧な日々を過ごしたとさ。
めでたしめでたし……とは、いきません。
彼はその後、「対価」を支払う羽目になりました。
ビボはまず家族を失います。理由なく妻子が彼の元を去ったのです。
次に彼は家を失います。家は頑丈に建てられていましたが、台風で倒壊してしまいました。
最後に彼は彼自身を失いました。失踪したのです。
「ビボは全てを失い、それから姿を消したわ。彼の行方は誰にも分らない。死んだっていう人もいるし、物乞いになって生き延びてるって話もある。ただ確実に言えるのは、彼はもう幸福じゃないってことよ。シキホールで願いをかなえてもらう対価は、自分自身が不幸になることなの。
でも考えてみれば、シキホールに足を運ぶ以前から、彼の人生に幸福はなかったんだと思う。私たちから見て、贅沢な生活を送っているときでさえね」
「今、そのフィッシュポンドはどうなっているの?」
「私のお父さんが譲り受けたけれど、気味悪がって売っちゃった。今では別のオーナーによって管理されている。でも聞いた話だと、夜な夜なあのフィッシュポンドには『出る』らしいのよ。男の霊で、いつも水の上を彷徨っているんだって」
「それを見たことはないの?」
「嫌だわ。この話を知っている人であんなところに近づく人なんかいないもの」
「その霊は、どっちの霊なんだろうね」
「さぁ……」
そこで僕と彼女の話は終わりました。
この話は、彼女と別れたあともしばらく僕の中に留まり続け、
誰に話すこともなく、気づけば3年も経ってしまいました。
べしゃりがきもいねんな
べしゃり?
校正中…
怖い
真似できるようなこと書いてて欲しい
救いがない…