優しい熊さん
投稿者:一成カンパニー (16)
短編
2021/05/15
18:28
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これは、私が、数年前、会社の都合で、3月に有休消化をしており、それを利用して、実家に帰省したときに、体験した出来事です。
かなり、田舎なので、釣りや山菜採りをするのが帰省した時に出来る楽しみの一つです。
この日は、ふきのとうやタラの芽をたくさん取っていて、かなり山の奥まで来ていました。
帰るには、40分くらいはあります。
山桜の木の下にはえているやつを取って帰ろうかと思っていた矢先、獣の臭いがして、目の前に大きな熊が立っていました。
俺の人生終わったのかという考えが一瞬頭をよぎりました。
しかし、熊はちょっと来てという仕草、(犬とか猫がやるような)をして、呼びに来ていたようです。
元来、熊は滅多に人を襲うことはなく、習性がない熊はほとんど逃げていくようです。
この熊は大丈夫なタイプなんだなと思いついて行きました。
随分前から放置されていたであろう馬頭観音があり、亀裂が入っていました。
この事を知らせに来たのかな、優しい熊さんだなと思ったら、大きな木の枝に首吊り死体がありました。
しかも2体もです。
もう熊は既にどこかへ行ってしまったようです。
その後、警察は自殺と断定しましたが、全国ニュースにはならず、地方紙にI市の山奥で遺体、山菜採りの男性が発見とだけ小さく記載されました。
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