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いちばん古い記憶は保育園での日常だ。
いつまで経っても親は迎えに来なくて、友達がみんな帰っても、辺りが真っ暗になっても、誰も俺を連れて帰ってはくれなかった。
保育園の先生も冷たいもので、「早く迎えに来なさいよ」とか、「ろくでもない親」とか、小さい声で話す先生達の声が、子供ながらに、自分は誰にも望まれていない存在なのだと突きつけられた気がして痛かった。
毎日、親の迎えは閉園の時間を過ぎた。
自分は誰からも愛されておらず、愛されない自分は世の中に必要が無いのだと、その時から思うようになった。
小学校に上がると、自らの存在が必要なものだと証明するのに必死になった。運動や勉強では、他の子よりもずっと先を進めるように、努力した。そしてその努力は実ったが、気が付けば俺の周りには誰も居なかった。
小さい話し声が先生達から同級生達へと変わり、やはり親は俺になんの関心も示さなかった。1度たりとも、母の手料理など食べたことがない。俺にとっての母の味はカップ麺やスーパーのお惣菜だ。
中学、高校と進み、更に事態は悪化した。母が再婚したのだ。
母が連れてきた男は、熊のような男で、働きもせず、ほとんど何もせずに家にいることが多かった。家に居てすることと言えば、家を汚し、掃除が甘いと言って俺を殴ることくらいか。
母は夜通し働き、家に帰ってきては熊に犯された。薄い壁越しに聞く母の喘ぎは聞くに耐えず、陶器の皿に鋭利なフォークの先端を擦り付けた時のような不快感が早朝から耳を刺した。そんな時は家を抜け出して、朝焼けの心地よい空気の中、1時間ほど散歩したものだ。
熊が家にいる時は勉強もままならなかった。1度だけ、あれをしろこれをしろと言う熊に嫌気が差して、「自分でやればいいじゃないか」と言ったことがあったが、目と鼻の境目がわからなくなるまで殴られた。
それから、俺は家にもほとんど帰らなくなった。
それでも、誰も俺を心配しやしなかった。
彼女以外は。
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「ねえ、聞いてる?」
ハッとして横を見る。大きな瞳で不思議そうにこちらを見ている彼女をみて、現実に戻る。
「ごめん、なんだっけ?」
「もう、ほんとたまにあるよね。それ。」
「悪い悪い、ちょっと考え事。」
「全くもう… だから最近仕入れた怖い話を今してたんだけど、どこまで聞いてた?」
「え?いや全く。」
「ほんとにもう…… だから、ある男の子がとある女の子を好きになったんだけど、実はその子はもう死んでて、この世に居ない人だったって話だよ。」
「おー、こわいこわい。」
「冷めてるなあ……。」
ところでさ。























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