無邪気にイタズラっぽい笑顔を見せながら、こんなことを聞いてきた。
「もしも、私が幽霊だったらどうする?」
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幽霊。
学校では俺は幽霊だった。家に居たくないから、誰よりも早く登校し、誰よりも遅い時間まで残って勉強した。放課後忘れ物を取りに来た同級生が俺の姿を見て、そう呼んだ。ずっと学校にいる幽霊だと。あながち間違いでは無いな。素直にそう感じた。もしも人生というものが、苦味の中に旨みのある、コーヒーやピーマンのようなものだとしたら、俺の人生には旨みがない。生きている意味というのは、多くの場合その旨みから来るもので、俺には生きている意味がないのだから、死んでいるも同然で、幽霊と言われても別に問題は無かった。それよりもずっと問題なのは、授業中に飛んでくる紙くずであり、いつの間にか消えている文房具で、買い足すお小遣いも無いに等しいので、かなり苦労した。まあ、仕方ない。幼少期からこうなのだ、人と円滑に関われない。
その上、まともに髪も切れない。1000円カットですら、俺の小遣いにとっては高級店に等しかった。このなりじゃ幽霊と間違われるのは当然だ。実際、熊や母には、汚らしいと何度も罵られた。
……ノートや鉛筆のようにいつの間にか消えてしまえたら、どれほど良かっただろう。
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「まぁ、俺が幽霊みたいなものだから、全然いいかな。」
「なによそれ。変なの。」
くすくすと笑う彼女は、やはり綺麗だと思う。この世の中は汚いものばかりだけれど、彼女だけは格別に綺麗で、美しいものに見えた。そのせいで自分がどれほど汚く醜いものか実感させられてしまう。彼女は、こんな俺といて、本当に心地良いのだろうか?
そもそも、何故だろうか。一緒に居てくれるのは。
なぁ。
聞きたくないのに、口が言うことを聞かない。
「なんで、俺なんかに話しかけてきたんだ。」
「どうしたの?突然。」
「いや、別に特に理由は無いけど、」
「けど?」
「いや、やっぱいいや。」
「なによそれ。やっぱり変なの。」
しばしの沈黙の後、彼女は、そうだなあ、と、首を傾げながらぽつりと口を開いた。
「探してるように見えたから。」
「ん?なにを?」
「お砂糖。」
「どういう事だよ。」
「ずっと苦いもの飲んでる顔してたんだよ。」
「またコーヒーの話か?」























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