よく見ると、女性は柵のようなものの前に立っていました。
その向こうは暗く、どこまで続いているのか分かりません。
夜景だと思っていた背景も、そうではないような気がしてきました。
翌日も、同じアカウントからLINEが届きました。
また、ボイスメッセージでした。
恐る恐る再生してみましたが、昨日と同じ。
あの一定の音が10秒ほど続くだけでした。
その翌日も。
さらに翌日も。
毎晩決まった時間になると、同じアカウントからボイスメッセージが届くようになりました。
最初のうちは気味が悪くて仕方ありませんでした。
ブロックしようかとも思いました。
でも、再生しても毎回同じ音が流れるだけ。
悪ふざけにしては手が込んでいるし、だからといって害があるわけでもない。
それに——うまく言えないんですが、なんとなく気になってしまうんです。
今夜はどんな音だろう、少しは変わっているだろうか。
気味悪いはずなのに、通知を待っている自分がいました。
1週間もすると、通知が鳴っても「またか」と思うようになっていました。
ただ、聞き慣れてくると、一つだけ気づいたことがありました。
ずっと砂嵐のようなノイズだと思っていたあの音は、ノイズにしては妙に規則正しかったんです。
「ザァ……、ザァ……」
まさに、波が岸に打ち寄せる音。
そのリズムに、驚くほどよく似ていました。
「まさかな」
そう思いながらも、一度そう聞こえてしまうと、もうただのノイズには聞こえなくなっていました。
その日も、塾から帰って部屋に入り、制服のままベッドへ腰を下ろしました。
スマホを見ると、いつものアカウントから通知が1件。
「また同じ音だろ。」
半分流し聞きするつもりで再生ボタンを押しました。
ザァ……。





























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