帰宅してアルバムを引っ張り出す。古い写真の中で笑っている幼い私は、あの子とまったく同じ服を着ていた。
私は無意識に、肘の古傷を撫でていた。
そんなことがあってからも、私はあの道を通っている。
今日も、あの子はベランダから手を振っている。
私も振り返す。
あの家の玄関を開ければ、父がいて、母がいて、夕飯の匂いがする。
「おかえり」
そんな声が聞こえる気がする。
分かっている。あの家に帰ってはいけないことくらい。
それでも私は、残業の日になると、あの道を通ってしまう。
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