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不思議体験

世捨て人さんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

迷子
長編 2026/07/25 20:04 164view

二人は奥へ戻る。
私は交番で一人になった。
本当は、不安だったから誰かそばにいてほしかった。
でも、黙って待つしかなかった。

若い警察官は何度か心配そうに様子を見に来てくれた。
どれくらい時間が経っただろう。
突然、自転車が急ブレーキを掛ける音が聞こえた。
ガチャン、とスタンドを立てる音。

勢いよく扉が開く。
一人の女性が飛び込んできた。

最初に思ったのは、
「……誰?」
だった。
女性は泣きそうな顔で私の名前を何度も呼び、強く抱きしめてきた。
その瞬間。
「ああ、お母さんだ。」
何故だか、そう思い出した。

母は何度も何度も警察官へ頭を下げていた。
その次に残っている記憶は、自転車の後ろに乗り、眠気と安心感の中で母にもたれ掛かっていたことです。
これが私の最初で最後の迷子の出来事です。

この出来事以降の記憶は、今でも比較的はっきり残っています。
しかし、小さい頃の私は、周囲から「常識が分かっていない」と思われることが多かったようです。
例えば、
家族構成を理解していない。
文字を右から左へ読んでしまう。
「日本」という国そのものを理解していない。
新字体が読めない。

今振り返っても、それが何だったのかは分かりません。
迷子になっただけだったのか。
あるいは、あの日、私の身に何か別のことが起きていたのか。
答えは、今でも分かりません。

3/4
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