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不思議体験

世捨て人さんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

迷子
長編 2026/07/25 20:04 125view

年配の警察官は椅子へ座るよう促し、私は言われるまま腰を下ろした。
机を挟んで若い警察官が白い紙と鉛筆を取り出す。
「怖かったね。不安なのは分かるから、少しだけお話を聞かせてもらえるかな。」
私は小さくうなずいた。
「まず、お名前と住所を教えてくれる?」
私は自分の名前と住所を答えた。
その瞬間、若い警察官の表情が一変した。
「ごめんね。もう一回、住所を言ってもらえるかな?」
私はもう一度同じ住所を伝えた。
困ったような顔をした若い警察官は、「少し待ってね」と言って奥へ入っていく。
年配の警察官と何か話している。
しばらくして二人とも戻ってきた。
今度は年配の警察官が向かいに座る。
「何度もごめんね。本当にその住所で合ってる?」
私はもう一度うなずいた。
「ありがとう。それじゃ、お家の電話番号は分かる?」
私は電話番号を答えた。

年配の警察官は受話器を取り、電話を掛ける。
コール音だけが響く。
誰も出ない。
受話器を置くと、私に向かって優しく聞いた。
「お腹空いてないか?何か食べる?」
私は首を横に振った。
その人は少し残念そうに笑い、もう一度電話を掛けた。
その姿を見て、子どもながらに「この警察官は優しい人なんだ」と思った。
再びコール音。
やがて電話がつながった。
「ご家族の方が出てくれたよ。本当に良かった。」
その言葉を聞いた瞬間、私は安心してまた泣き出してしまった。
若い警察官がティッシュを差し出しながら続ける。
「記録に残さないといけないから、もう少しだけ教えてくれる?」
私は、学校から帰ってランドセルを置き、友達の家へ向かったこと。
スーパー近くの友達の家を4時30分に出たこと。
そのまま話した。

若い警察官は壁の時計を見た。
そして、一瞬固まった。
大きな地図を持ってきて広げる。
「ここが、この交番。」
指差す。
「そして、君のお家はここ。」
見ただけでも相当な距離だった。
「大人でも40分くらい掛かる距離なんだ。子どもの足で15分ほどで来られる場所じゃない。本当に4時30分だった?」
私はうなずいた。
若い警察官は再び困った表情を浮かべた。
そこへ年配の警察官が戻ってくる。
「お母さんがすぐ迎えに来るよ。とても心配していたから、安心させてあげてね。」
そう言って、私の頭を優しく撫でた。
若い警察官は事情を説明する。
年配の警察官もメモを見て驚いた表情になった。
「うーん……。」
そう呟くだけだった。
「もう少しだけ、ここで待っていてね。」
そう言って、お菓子を持ってきてくれた。

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