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不思議体験

世捨て人さんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

迷子
長編 2026/07/25 20:04 163view

投稿サイトに文章を載せるのは最初で最後です。
読みづらい点があるかもしれませんが、ご容赦ください。
あの出来事から、もう30年以上が経ちました。
いつまでも引きずっていてはいけない。この記事を書いたら、この出来事を一区切りにして手放そうと思っています。

私は、小学校低学年より前の記憶がほとんどありません。
幼い頃の記憶は成長とともに薄れていく、とよく言われます。
しかし、私の場合は違いました。
ある出来事以降の記憶は鮮明なのに、それ以前の記憶だけが、まるで切り取られたように思い出せないのです。

今から約30年前、私が小学校低学年だった頃の話です。
私は迷子になりました。
「迷子になった」と言っても、新聞やニュースになるような大事件ではありません。
ただ道が分からなくなり、自力で歩いて交番へ行き、保護された──それだけの出来事です。

当時の状況を、覚えている範囲で書きます。
・平日、小学校が終わってから、家から10分ほど離れたスーパー近くのマンションに住む友達の家へ遊びに行った。
・友達の家はマンション一階の一室だった。
・そこで何をして遊んだのかは覚えていない。
・帰る時、時計を見ると午後4時30分だった。

友達にいつものように別れを告げ、玄関を出た。
その瞬間、最初に頭に浮かんだ言葉は――

「ここ、どこ?」

強烈な違和感だった。

見たことのない道。
見たことのない建物。
見覚えのない景色。

夕方で薄暗くなってきたから、そう感じるだけなのかもしれない。
そう自分に言い聞かせようとした。
でも無理だった。
違う。
何もかもが違う。
意味が分からない。
どうして?
友達の家を出ると目の前に大きな車道があったはず。
でもそれが無い。
それどころか、車道があったところに建物が建っている。
え?え?え?ここどこ?
混乱した頭の中で、唯一思いついたのは、
「友達の家に戻ろう。」
だった。
振り返る。
……ない。
そこにあったはずの友達の家の玄関がない。
玄関があったはずの場所は、ただのコンクリートの壁になっていた。

そもそも、マンションの形まで違う気がする。
その瞬間、恐怖と混乱と理解できない感情が一気に押し寄せ、私は泣いた。
泣いてる間にも、辺りは少しずつ暗くなっていく。
「ここにいてはいけない。」
泣いている自分とは別に、どこか冷静な自分がそう判断していた。
その時、ふと思い出した。
警察官だ。交番へ行こう。
警察官なら助けてくれる。
そう信じて、とにかく目の前の道をまっすぐ歩き始めた。
確証なんて何もなかったけど、ここに居たくない。
その気持ちだけでただ、ひたすら歩いた。
どれくらい歩いたのか分からない。
ようやく交番を見つけることが出来た。
私は走って駆け寄り、窓から中をのぞく。
警察官が二人いた。
助かった。助かったんだ。
そう思って、交番の中へ入った。
若い男性警察官と、年配の男性警察官。
私のただならない様子を感じたのか、若い警察官が優しく声を掛けてくれる。
「迷子かな?」
私は黙ってうなずいた。

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