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心霊

老ニャクにゃんにょさんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

ラップの芯
短編 2026/07/23 22:35 53view

苦しそうな咳。

何か液体が喉に入り込んだような、湿った音。

「ごぼ……ごぼごぼ……がぼっ!!」

まるで水の中で必死に息をしようとしているような音でした。

それを最後に、音はぷつりと止みました。

翌日、どうしても気になってマンションについて調べてみました。

古い新聞記事を見つけたんです。

私の部屋の真下、一階の部屋で死亡事故が起きていました。

亡くなったのは知的障害のある男性。

浴室でラップの芯をくわえ、水の中で遊んでいたそうです。

ところが浴槽の中で転倒し、自力では起き上がれなくなった。

助けを呼ぼうにも声は出せない。

ラップの芯で呼吸しながら救助を待っていたそうですが、その芯は紙製でした。

長時間水に浸かり、芯は少しずつふやけて崩れ始めます。

溶けた紙と水が喉へ流れ込み、呼吸は徐々に苦しくなり……。

最終的な死因は、溺死ではなく窒息でした。

記事を読み終えた瞬間、思い出しました。

最初に聞こえていた「ふしゅー……ふしゅー……」という音。

そして最後の夜だけ聞こえた、

「ごひゅっ!! ごほっ!! ごぼっ!!」

あれはきっと――

私が毎晩聞いていたのは、亡くなるまでの一連の呼吸だったのでしょう。

最初はまだ息ができていた。

けれど夜を重ねるごとに、紙が崩れ、水が喉に入り、少しずつ呼吸ができなくなっていく。

私はその変化を、毎晩聞かされていたのです。

あの夜を最後に、その音は二度と聞こえなくなりました。

後日、調べてみるとあの日は命日だったそうです。

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関連タグ: #声#深夜
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