おばあちゃんが亡くなった年のとある夏の日
投稿者:駿 (5)
これは、僕が高校1年生の時の話です。
生まれてから15年間ずっと一緒に暮らして来たおばあちゃんが、高校に入学した年の4月に亡くなりました。
優しくて、僕と姉をとても可愛がってくれたおばあちゃん。しかし、亡くなる数年前は認知症の症状がひどくなり、最終的には僕たちの顔も忘れてしまっていました。
名前や部屋を間違えたり、夜中に徘徊しては警察の方に迎えに来てもらったり‥‥。多感で幼かった僕はそんなおばあちゃんを邪険に扱ってしまっていました。
「ごめんね」
ただその一言を伝えたかったです。
そんなある日、夏のお盆を過ぎた時期でした。
僕は部活を終え、帰宅してリビングでテレビを見ていました。のどが渇いたので冷蔵庫にある麦茶を取りに行こうとした時、
タタッ
台所の勝手口の隙間から、足だけですが、子供の姿が見え、家の裏庭の方に走っていきました。
近所には、4歳くらいの小さな子供が住んでおり、よく家の前でボール遊びをしていたんです。
(ああ、ボールがうちに入っちゃって、それを取りに行ったのかな?)
よくあることだったので、さほど気にも留めませんでした。
しかし、数分後、僕はおかしなことに気が付きます。
よく考えると絶対に近所の子供ではない。
そんなことはあり得ないんです。
だって、大量の防犯用の玉砂利の敷かれた庭の上を走って行ったのにも関わらず、全く足音が聞こえなかったんです。
防犯用の玉砂利は、上を歩くだけで普通の砂利に比べてとても大きな音がします。
それを子供が音を立てずに走って行くのはどう考えても不可能なんです。
思わず背筋が寒くなりました。
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