事情を話すと、
「うちで待ってれば?」
と言ってくれた。
少し迷ったが雨も降っていたし、お言葉に甘えることにした。
部屋に入る。
綺麗だった。
男の一人暮らしとは思えないくらい整頓されている。
本棚には小説が並び、テレビの横には観葉植物まで置いてあった。
俺は少し驚いた。
その時だった。
壁に大量の写真が貼られているのが見えた。
旅行写真らしかった。
「写真好きなんですか?」
そう聞くと、その人は少しだけ笑った。
「記録するのが好きなんだよ。」
それ以上は特に気にならなかった。
数か月後。
俺はアパートを引っ越すことになった。
就職先が決まり、別の県へ移るためだ。
荷造りをしていると隣の人がやってきた。
「引っ越すんだって?」
「はい。」
「そっか。」
少し寂しそうだった。
最後に連絡先を交換しようと言われたが、そこまで親しくないと思ったのでやんわり断った。
相手も気にした様子はなかった。
「元気でな。」
それが最後の会話だった。
社会人になって3年ほど経った頃。
実家へ帰省した際、母親が言った。
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