これは、私が勤める介護施設で、
ある利用者様から聞いた話です。
その方がまだ10代だった、
昭和36年の秋頃のことだそうです。
近所の公園には大きな池があり、
学校帰りにそこを通ると、
数人の子供たちが何か騒いでいたそうです。
見ると、
捨てられたばかりのような
小さな子猫が数匹、
池に浮かべた板の上に乗せられていました。
子供たちは、
板を棒で突いたりして、
面白がって遊んでいたそうです。
「そんなことしたら可哀想やろ」
そう注意しても、
子供たちは笑うだけで、
「うるさいババア」
と囃し立てたそうです。
「まだ10代やのに……」
そう言い返した時、
急に空が暗くなり、
強い雨が降り始めました。
家に帰ってラジオをつけると、
大型の台風が大阪へ近づいていると
繰り返し流れていたそうです。
台風が過ぎ去ったあと、
気になって公園へ行くと、
池には、
あの板がまだ浮かんでいました。
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