なのに、再生ボタンを押す指が、少し震えた。
やめた方がいい。
そう思った。
でも、押した。
画面は真っ暗だった。
音もない。
数秒待っても、何も映らない。
ファイルが壊れてるのかと思って、画面に顔を近づけた。
そのとき、気づいた。
細い、縦の線。
わずかに光を反射している。
最初はノイズかと思った。
でも違う。
一本じゃない。
何本もある。
艶。
質感。
それが、画面いっぱいに映った髪の毛だと分かった瞬間、背中が冷たくなった。
近すぎる。
近すぎて、それが髪だと認識できなかった。
次の瞬間。
画面の左右から、手が伸びてきた。
白い手だった。
にゅっと、不自然なくらい滑らかに現れて、その髪を掻き分け始めた。
ゆっくりじゃない。
焦っているみたいに、激しく。
何度も、何度も。
その瞬間、直感で理解した。
これは前髪だ。
その向こうに、顔がある。
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