見えてしまう。
見たくない。
でも目が離せない。
心臓がうるさい。
息が浅い。
気づけば、自分も両手で顔を覆っていて、指の隙間から薄目で画面を見ていた。
まだ、手は髪を掻き分けている。
ずっと。
ずっと。
何秒だったのか分からない。
ある瞬間、ばっと開いた。
顔が、見えた。
それが何だったのか、今でも説明できない。
人の顔だった気がする。
でも、人じゃなかった。
目も、口も、鼻も、たしかにそこにあるのに、どこにもなかった。
形が定まらない。
ぐちゃぐちゃで、なのに、確かにこっちを見ていた。
それ以来、あの子を教室で見た記憶がない。
ただ、今でも時々、講義中にふと視線を感じることがある。
顔は、思い出せない。
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