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妖怪・風習・伝奇

語り部のタラノメさんによる妖怪・風習・伝奇にまつわる怖い話の投稿です

古本屋のおじさんに聞いた昔話『四匹の井戸鯉』
短編 2026/04/04 19:18 130view

みなさん、百物語ってしたことありますか?
私はしたことありませんし、する予定もありません。
あれって怖い話を百個出し合うだけではわけなくて、不思議だなぁとか、ほっこりする系の非日常的な話とかもありなんですよね。
前置きが長くなりましたが、この話は怖くないものなので、ここに投稿することが正しいか分からず取り敢えず言い訳しただけです。
それでは…

『四匹の井戸鯉(いどごい)』

『昔々、とある屋敷の主人が趣味としていろいろな鯉を庭の池で飼っていたそうな。

その池に10匹

そのうちの6匹のそれはそれは立派に育っていく元気な鯉だったそうな。

しかし、残りの4匹だけみすぼらしく、小さな鯉であった。それを見た主人は「この池にこのようなみぼらしい鯉はふさわしくない!」そう言うと、庭師に掬い上げさせて、もう使われてない古井戸にひょいと落としたそうな。

かわいそうだと、それを見ていたそこの坊っちゃんが毎晩飯をふところに隠して、夜に鯉に分け与えておりました。

鯉の体が大きくなってきた頃には古井戸では明らかに狭く、暗い。

坊っちゃんが庭師に頼み込み、網を借りて皆が寝静まった夜に掬い上げようとした。

しかし、坊っちゃんはまだ年も幼く、体が小さかったものですから中に落っこちそうになってしまった。

なんとか、井戸の内側にある石の突起のところにしがみつくことができた。

すると、井戸の中の4匹の鯉は考えた。

「毎晩飯を持ってきてくれているであろう恩人が今、危機に瀕している。助けたいのは皆同じだが、我々の力を振り絞っても助けることはできないだろう・・」

悩み、どうすればと考える鯉ではあったが、無常にも坊っちゃんの力は弱く今にも落っこちそうな様子。

1匹の鯉が口を開いた。

「君が私の尾びれを咥えてくれ、そうしたら次は君の尾びれをもう一人の君が咥えて、最後に、もう一人の君の尾びれをさらにもう一人の君の尾びれを咥えてくれないか?」

何か良い案があるかと思ったら何を言うか、呆れる3匹であったが、必死に頼むその鯉に突き動かされました。

「なにか秘策があるやもしれない!ここはこいつを信じてみようか」

言われた通り一列に並びお互いの尾びれを咥え合った。

すると、なんということだろうか!互いの体が繋がって一本の大きな身体になったではないか!

「できるだけ下の方に潜り、力をつけて思いっきり飛び跳ねた鯉。

坊っちゃんは何か通じ合ったのか鯉に掴まり、共に空へ登った。

井戸を出たのでは飽き足らず、およそ3~5mは跳んでいたのである。

月の光に反射して池に映る鯉の姿は、もはや鯉ではなく、まさに竜であったそうな……。

安全なところに坊っちゃんを降ろし、竜は感謝の印に鱗を一つ与えた。

鯉は、「その鱗は困難なことや嫌なことに対して怠け、逃げてしまう者の心を正すものです。それでは・・・」

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