奇々怪々 お知らせ

意味怖(意味がわかると怖い話)

翔真さんによる意味怖(意味がわかると怖い話)にまつわる怖い話の投稿です

山は、生きている
長編 2026/03/04 22:29 916view

「目が覚めましたか。具合はどうですか?」

男はそう言うと、ペットボトルを差し出した。

「あの、ここはどこです?あなたは一体ーーー」

まぁまぁ、落ち着いて、と男は箪笥の中からペンライトを取り出し、松岡の目に光を当てた。

「うん、瞳孔も異常なさそうだ。嘔気はないですか?」

ええ、大丈夫です、と松岡は呆然とした様子でそう返すと、部屋をぐるりと見渡す。
男はよっこらしょ、と言いながら腰を落とすと、あぐらをかいた。

「ここは、尾久根山ですよ。この家は僕の別荘みたいなものでね。今朝5時頃でしょうかね、倒れていたあなたをたまたま見つけたんです。まぁしかし、無事で良かった。」

ーーーここが、尾久根山山中?
あり得る筈ない。

松岡は慌てて尻ポケットをまさぐり、警察手帳を男に提示した。

「私は警視庁の者です。実はある事件で昨日から尾久根山を捜査をしていたのですが、閉山されているし家屋なんてない筈だ。尾久根事件以来、この山は関係者以外立ち入り禁止の筈です。」

男は驚いた様に目を丸くすると、警察の方でしたか、と呟きゆっくりと松岡と視線を合わせた。

「僕は、その関係者でしてね。不法侵入にはあたりませんよ。あの事件以来、尾久根山の管理を任されてるんです。調べて頂ければ、すぐわかると思いますよ。必要なら、名刺も後でお渡ししましょう。」

松岡は一体何がどうなっているのか訳がわからなかった。
そんな様子を見兼ねた男は、順を追ってぽつりぽつりと、説明した。

男の名は小松原といい、とある研究機構に普段は勤務しているが、大学でも非常勤講師として教鞭をとっているという。
尾久根山の委託管理と尾久根山の研究の為、週に何度か訪れているという。

松岡も、今自身が置かれている状況や経緯、起きた事を小松原に全て話した。
守秘義務の保持よりも、小松原であれば事件解決の糸口を握っているかもしれない、と睨んだからである。

何より、尾久根山で何が起きているのかを早く解明したかったのだ。

「ーーーそうですか。松岡さんは10年前、尾久根事件に携わっていたんですね。あれは本当に、酷い有様だった。」

小松原はそう言うと、深い溜息をつく。

「事件後、巷では尾久根山が心霊スポットとなっているみたいですね。それに、6月から何人もの被害者が出ている。症状は尾久根病に酷似していて、聴取すると、霊が現れた、と。私には正直信じられませんでしたが、昨日確かに見たんです。死んだ筈の息子を。」

「霊の存在を、認めざるを得なかったと?」

松岡は真剣な表情で頷くと、一呼吸置き小松原が口を開いた。

「わかりました。僕が知っている範囲で、お話しましょう。」

松岡は固唾を飲む。

「事件後、尾久根山の調査を始めて徐々にわかってきた事がありましてね。この山は、端的に言うと人間を怨んでいるのではないか、と。」

「怨む?山が、ですか?」

9/11
コメント(0)

※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。

怖い話の人気キーワード

奇々怪々に投稿された怖い話の中から、特定のキーワードにまつわる怖い話をご覧いただけます。

気になるキーワードを探してお気に入りの怖い話を見つけてみてください。