そう考えながら、メモを懐中電灯で照らし、悠介から聞いたように同じ行動を取る。
すると、線香に似た渋い香りが漂い始めたのだ。
一気に緊張が走る。
何か気配を感じた。
木々の生い茂る方だ。
視線をやると、ぼんやり人が浮かび上がる。
それが何なのか、理解するまでに暫く時間を要したのだが、その姿に松岡は愕然とした。
「拓海!!」
それは、10年前に亡くなった筈の拓海だった。
懐中電灯を照らしてもいないのに、その姿は鮮明であった。
ーーー拓海か?拓海なのか?
あまりの驚きに声にならなかったが、松岡は口をパクパクとさせながら歩み寄ろうとする。
あの時、救えなかった事を詫びたい。
1人で、寂しくないか?
元気でやってるのか?
ーーーもう一度、この手でお前を抱きしめたい。
様々な思いや感情が津波の様に押し寄せる中、何故か目の前の拓海が徐々に消えていく。
松岡は、自分の意識が朦朧となり気を失いかけている事に気付いていなかった。
***
目が醒めると、松岡は見知らぬ部屋の布団に横たわっていた。
額に手を当てると多量の脂汗が滲んでいる。
慌てて飛び起き、今置かれている状況を必死に理解しようとした。
ーーー俺は確か、現場検証をしていて、拓海が現れて、それからーーー
ポケットからスマートフォンを取り出し日時を確認すると、“8月23日 PM14:56”と表示されていた。
あれから丸一日、経過していたのである。
県警からの不在着信が3件残っている事を確認し、電話をかけようとしたその時部屋のドアが開いた。
そこには、還暦程であろう男が立っていた。
ヨレヨレのネルシャツとデニムという出で立ちで、何やらペットボトルを持っている。























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