何が何でももう舞台に上がってしまったんだから、覚悟を決めて踊りきるしかないって理解した。
踊りは対になってて、俺が右避け、左避けってやると対なるように反対側では左避け、右避けって感じでうごくんだけど。
そのたびに風が吹き抜ける気がした。
練習はカセットテープだったのに、本番はどこからか楽器もった大人たちがいて、生演奏してた。
怖かったこともあって俺はとにかく練習したとおりにきっちり踊ってた。
顔にかけた布を投げて、胸元から小刀を取り出してから異変が起こった。
ポーズをつけて踏ん張るっていう、踊りで踏ん張るってなんだよってパートがあったんだけど。
足に力いれてないと倒れたかもってくらいのなんていうか、目には何も見えないんだけど。
グッと体が押された気がして、それからはもう踏ん張るポーズ全力だった。
俺と対になって踊ってた子も、踏ん張ったときに同じ異変を感じたのか一瞬ぎょっとした顔をしたんだけど。
さっきまで恥ずかしがってたのはどこえやら、練習通りにしっかり俺と対になって踊り出したんだ。
踊りは5分もなかったと思うんだけど。
ものすごく長く感じた。
何か変なのが見えるわけじゃない。
ただなんか『いる』、間違いなく見えないけれど『いる』みたいな、経験したことがない感覚だった。
小刀も踊る場所に行く前にみたときは、ペラペラのちゃちいやつだったのに。
踊りの時にさやから抜いたら、ものすごく大きな存在感があった。
そんで最後俺ともう一人が向かい合って、ヤーって叫んで小刀を突き刺す動きをして終わるんだけど。
俺はなんの手ごたえもなかったんだけど。
突き刺したときにグッて音が聞こえた気がした。























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