名前を出した瞬間、
他の人がすぐに止めた。
「やめとけ、縁起でもない」
聞いた話をまとめると、こうだった。
・昔、あの辺一帯を仕切ってた
・子どもにだけやたら声をかける
・でも、何かされたって話は一切ない
・ただし――
関わった家は、みんな引っ越してる
理由は誰もはっきり言わなかった。
俺が言った。
「でもさ、あの人、朝しかおらんかったよな?」
また、沈黙。
さっきまで喋ってた人が、
グラスを置いて、ぽつりと。
「……あの人な。
夜は、別の顔で忙しかった」
それ以上は誰も話さなかった。
帰り道、
昔の通学路を歩いてみた。
電柱はそのまま。
横断歩道も残ってる。
ただ一つだけ、違った。
電柱の根元に、
古い御札が何枚も貼られていた。
風でめくれた一枚に、
薄く文字が残ってた。
「
朝のうちは
まだ人です
」
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