「おはようございます。お花、綺麗ですね」
私は素知らぬ雰囲気で尋ねる。
「あぁ、これね。誰か知らないけど…お花を挿してくれてね。ありがたいことさね。」
「あの…ここで何かあったんですか?」
私は恐る恐る聞いた。
「知らないの?ここはね、3年前に交通事故があった場所なのよ。全国ニュースにもなったんだから」
「交通事故…」
私は言葉を失った。まさか、誰か知らない相手がここで死んでいたとは…そして私の挿した花は知らぬ間に献花になっていたのだから。
「名前は…何だったかしら、あの40代くらいの男性よね。」
「そ、そうですか。ご冥福をお祈りします。」
私は足早にそこを去った。
それからもうここに花を挿すことをやめた。
ー秋が深まったある日ー
京都の秋は短い。
紅葉シーズンに観光客が増えるが、ジャストのタイミングで訪れるのは難しいだろう。
ある休日、私は裏の小道を散策すべく、また小瓶の通りを歩いた。
小瓶はまだそこにあった。
小瓶には綺麗な花が挿してあり、そこには親子が手を合わせていた。
私以外にこの小瓶に花を挿している人がいたとは思わなかった。つい好奇心で、親子に声をかけてしまったのが間違いだった。
「こんにちは」
「ん?あら、こんにちは」
「綺麗に花が飾られていますね」
「そうねぇ、ここのことを風化させちゃいけないからね」
そう答えたお母さんに5歳くらいの子供がしがみよる。
「男性?が亡くなってるんでしたっけ?3年前の交通事故で」
私はお婆さんの言っていたことをそのまま伝えた。
「男性?その人もここで亡くなってたの?!私が知っているのは女子高生が去年、ここで亡くなったのは知っているけど。」
驚いた。ここは交通事故多発現場なのか。
その後簡単なやり取りを済ませて、その場を後にした。

























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