そのまま交差点を左にカーブして脇道へと入って行った。どうやら飛行機はこのまま会社の前まで走ってくれるらしい。
こんな狭い道路なのに、飛行機の翼とか、周りにぶつからないのだろうか?
そう思って後方を確認してみると、翼どころか飛行機自体が透明になっており、我々は座席に座ったまま、空中を飛んでいる。なんというか、ちょうどバスに乗ったときの高さくらいを飛んでいるのである。しかも座席ごとにスピードが違うようで、だんだんみんな間隔がバラバラになって行った。後続がかなり後ろにいる。
気が付くとまた先ほどの暗い議場の中にいる。
みんな立ったままざわついている。外に出られないようだ。
ボクの隣にいた女性首相は「私に任せて」といい、柱の横に据えられていたダンボール箱の中から鍵を取り出し、それを防火扉のような分厚い金属製のドアに差しこんだ。
ドアは開き、皆が解放される。
我々は狭くて古い建物から解放され、芝生が覆う大学のキャンパスのようなところを歩いて帰宅する。途中、ひとりの女性を見つけた。名前は伏せるが、あだ名がバヤシコと言う若い女性で、以前勤めていた会社の同僚だった。
「なぁ、バヤシコ~。なんか今回の旅行って不思議な旅行だったな。スピリチュアルというか」そう話しかけてみたが、「う~ん」と言いながらどこか不思議そうな呆けた顔をしている。
ボクは自宅マンションへ帰った。もう夜になっていたのだが、部屋の電気も付けず暗いままたたずんでいる。ベランダに出てみると外は雨が降っていた。高層階なので、雨でモヤっている街並みの明かりが幻想的だ。
「わ~~しまった!」自分は洗濯物を干したまま社員旅行に出かけていたのである。
干していたシーツなどが雨に濡れている。急いで取り込む。
失意の中、ボクはおなかが減ったので冷蔵庫をあさる。大きな皿に並べられたこれまた大きな鮭の切り身がある。これでも食おうかと取り出す。・・・いやでも、この鮭も旅行前に買ったやつだからもう3日たってるな・・・と思いながら一応匂いを嗅いで確かめる。
別に臭くはない。
「ま、いいか」ボクはトレーごとそれを電子レンジに入れて加熱した。
(鮭ならレンジじゃなくガスコンロで焼いた方が良かったかな) そう思いながら、
そのまま時間は過ぎて行った。
ボクはあの女性首相は、飛行機事故で死ぬはずだったボクらを、タイムスリップのような能力を使って時間を巻き戻して助けてくれたんじゃないだろうか・・・と考えていた。
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・・・と、こんなところでボクは夢から目覚めました。























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