奇々怪々 お知らせ

心霊

鈴木アンバサダーさんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

あの遊び場の子
短編 2025/11/05 14:02 1,474view
0

心臓が跳ねて、私はそのまま走って逃げました。
けれど、背後から聞こえる足音は途切れません。
振り向くと――ニタニタと笑いながら、同じ距離を保ってついてくるのです。
私は混乱しながらも、なぜか怒りのような感情が込み上げてきて、立ち止まって言いました。

「なんでついてくるの?」

しかし、男の子は笑みを浮かべたまま、何も言いません。
声をかけても、表情ひとつ変えず、ただ、目だけがこちらをじっと見ていました。

恐怖がこみ上げ、私はまた母のもとへ駆け戻りました。

そんなことが、何週間か続きました。
そのたびに、男の子はいつの間にか現れて、笑いながらついてくるのです。
やがて数か月が過ぎた頃、母が言いました。
「先生が遠くに行っちゃうから、もう習い事はいけなくなっちゃったの」
私は寂しくて泣きました。もう会えない先生のことを思って。

それからしばらくして、家族でそのショッピングモールを訪れたとき――

習い事の教室は、すでに閉まっていました。
残念な気持ちで歩いていると、あの遊び場の前を通りかかりました。

そこには、立ち入り禁止のロープが張られ、
入口のガラスには「安全点検のため閉鎖中」という張り紙がありました。
中を覗くと、遊具の影に、ぼんやりと何かが動いたような気がしました。

でも――母には、見えていないようでした。

2/2
コメント(0)

※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。

怖い話の人気キーワード

奇々怪々に投稿された怖い話の中から、特定のキーワードにまつわる怖い話をご覧いただけます。

気になるキーワードを探してお気に入りの怖い話を見つけてみてください。