これはぼくが小学生の時の話だ。
同じクラスにたっちゃんって呼ばれてる男の子がいたんだけど病気がちでたまにしか学校に来なかった。
ぼくはたまたま家が近くてよく学校の手紙を家に届けていたんだけどたっちゃんの家に大流行していたモンスター育成ゲームのグッズがあることに気が付いた。
たっちゃんのママに
ぼく「たっちゃんって〇〇のゲーム好きなんですか?」と尋ねると
たっちゃんママ「そうなのよ。いつも病気の事で辛そうなんだけどゲームで遊んでる時は本当に楽しそうなの。君もこのゲーム好きかな?」
ぼく「ぼくも大好きです。」
たっちゃんママ「そうなのね。よかったらうちの子と友達になってくれないかしら。ゲームの事話せる友達が出来たらもしかしたら元気になるんじゃないかと思って。」
ぼく「ぼくもたっちゃんとお話してみたいです。」
たっちゃんママ「ありがとう。ちょっと呼んでくるわね。」
たっちゃんと会うのは全然初めてじゃないけど話すのはその時が初めてだった気がする。
だけど小学生なら共通の話題があれば仲良くなるのに時間は要らなかった。
夕方になる頃にはすっかり仲良くなったので帰り際に「今度は一緒にゲームしよう。」っていうと
たっちゃんは嬉しそうに返事をした。
それ以来、たっちゃんの家に遊びに行く日が増えた。
当然、やることと言えばあのゲームだ。
お互い手塩に掛けて育てたモンスター同士をバトルさせたり交換したりした。
そうやって交流を続けていたある日たっちゃんが深刻そうな顔でぼくに言った。
たっちゃん「実はしばらく入院することになったんだ。今までは検査だけだったんだけどこの前の結果が良くなかったみたい。」それを聞いたぼくは息が詰まった。
たっちゃん「僕、死ぬのかな。」とたっちゃんは目に涙を浮かべながら言った。
ぼく「たっちゃんが死ぬもんか。」
たっちゃん「僕こわいよ…」
ぼく「じゃあこうしよう。たっちゃんにこいつを預ける。退院したら必ず返して。男同士の約束だよ。」と親に駄々をこねて連れて行ってもらったイベントでしか配布してなかったレアモンスターを見せた。
たっちゃん「だめだよ。そいつのことはあんなに大事にしてたじゃないか。」
ぼく「別にあげるわけじゃない。預けるだけだ。」
たっちゃん「わかったよ。」
たっちゃんが入院した後、何度か親と一緒にお見舞いに行った。
行くたびにたっちゃんはやつれていき最後にお見舞いに行った時はガラス越しにしか会うことが出来なかった。
程なくしてたっちゃんは亡くなった。
お葬式の時にたっちゃんママに話しかけられた。























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