前に他人のオーラが見えるっていう人がいたんだ。
その人は〇〇さんは青とか〇〇さんは黄色とかそんな感じの事をよく話していた。
自分は確か緑とか言われたっけな。
正直、あんまり信じてなかったけど不思議とバカにはしてなかった。
話を聞いていても同じ色の人の性格が似てるとかそんな感じは一切なく法則性はほとんど見出せずにいた。
ただ一つ分かったことがあった。
オーラの彩度っていうのかな。
彩度っていうのは色の鮮やかさみたいなもんで下がってくると白とか黒に寄ってくると思ってくれていい。
それでそのオーラの彩度が下がってきてる人ってのが全員体調悪くなってるんだ。
ちょっと色が悪くなら風邪くらいで済むが完全に白か黒になったらいよいよ命に関わる。
前に飲み会の帰りに駅のホームで一緒に待っていたら見知らぬ人のオーラが真っ黒だと呟いたんだ。
すると見知らぬ人は突然苦しみだしてしまいには救急車やらAEDやらと大騒ぎになっていた。
自分はその時この人スゲーと思ったが周りはそうではなかった。
オーラが見えるなんて公言するものだからすっかり不思議ちゃん扱いされて浮いてしまいそのうちそれを苦にいなくなってしまった。
実はいなくなる直前に実家までお見舞いに行ったことがある。
その時にその人の母親から幼少期の事を聞かせてもらった。
子供の頃からやはりオーラは見えていたようだが当時はあらゆる効果音や音楽に反応していたらしく鳥の鳴き声が聞こえたら黄色とかパトカーのサイレンが聞こえたら赤とか言っていたらしい。
心配になって病院に連れて行くと共感覚っていう珍しい能力を持っていたらしい。
共感覚ってのは音に聴覚だけでなく視覚が反応したり景色に視覚だけじゃなくて味覚も反応するみたいな体質らしい。
その人の場合は音は聞こえるだけじゃなくて視えるものでもあってそれで音がしたら色の名前を言っていたようだ。
オーラの正体も恐らくは共感覚だろう。
その時、合点がいった。
もしかしたら人の死に際にオーラの色がくすんでいくのは身体から断末魔のような歪な音が発せられているからなのかもしれない。
























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