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呪い・祟り

気まぐれパルスィさんによる呪い・祟りにまつわる怖い話の投稿です

供物回収班
短編 2025/10/25 01:04 2,012view
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凄惨な事故地かもしれない。物騒な事件跡かもしれない。道の隅に、花と少しの供物が供えられているのを誰しも一度は見たことがあるだろう。しかし、供えられたその先について、実は多くの人は知らないのでは無いだろうか?供えられる物の多くは生花、食料品、つまりは置いておけば次第に悪くなるものばかりである。とくれば、何処かのタイミングで誰かが回収する必要がある。供養された敷地の管理者の仕事だろうか?最初はそう思っていたのだがどうやら違うらしい。調べてみると、”供物回収班”という部署を持つ某清掃業社を見つけた。好奇心からコンタクトを取ってみる。これは、こんな経緯で知り得た怖い話。
 取材協力の感謝、世間話も落ち着き、この会社に勤める男性(以下Aさん)との対話が始まった。「供物というのは、言わば霊への贈り物。当然霊は自分の物だと思います。だからこそ、回収してしまうと、自分の物を取られたという怒りが沸くのでしょうね。あの仕事に関わる不思議な出来事は数え切れません。人間不思議なもので、最初どれだけ怖くても、続けるうちに慣れてくるんですよね、今では音が鳴るとかそんなくらいじゃなんとも思わなくなっちゃいましたね。ただそんな今でも、思い出すだけでゾッとする事があったんです。」そう言ってAさんは語り始めた。

「その日の作業は、走行中のバスが転落した道路傍の1箇所、転落した先の登山道の1箇所、計2箇所からの回収でした。1箇所目は車を横付けできる場所という事もあって、早々に作業を終わらせて車に戻りました。ここでの作業は特に何の問題も無く完了し、すぐに下の登山道入口まで車を走らせました。2箇所目は登山客用の道のため、車で入っていくことはできないので、駐車場からは徒歩で向かう事になります。整備された一本道だから遭難の恐れは無いとはされていた物の、雪の降り積もった誰もいない山道というものはかなりの雰囲気がありました。10分ほど歩いた頃だったと思います。目的地が近づくにつれて、段々と異変に気づき始めていました。なるべく考えない様にはしていたんですけどね、周りには誰もいないはずなのに、沢山の足跡がある気がするんです。それも、明らかに自分の足と比べて小さい。そう、まるで子供の足の様でした。当時はもうこの仕事にはかなり慣れていて、つまり、霊的な現象にもあまり恐怖を覚えなくなっていましたが、鮮明に事故の犠牲者の特徴と、起きている霊障が一致しているという、未知の感覚におかしくなりかけていたと思います。やっとの思いで目的地に到着し、なるべく何も考えずに、作業を終わらせて、その場を離れようとしました。お供え物を袋に入れて、その場から一目散に離れていました。その時、急に下半身が重くなったような気がしたんです。まるで子供達に引っ張られているような気がして、半ばパニックになりながらも、気のせい、気のせい、気のせい、気のせい…自分に言い聞かせて進んでいました。入山口が見えてきて、ほんの一瞬気が緩んだ時、肩にズッシリと重みを感じて、先程までの違和感とまるで違う部位の異変に思わず立ち止まってしまいました。刹那、後ろで微かな声で”おい”と聞こえた気がしました。怖くてたまらなかったのですが、勇気を振り絞って、バッと振り返ったんです。するとその瞬間、その前の物とは比べ物にならないはっきりとした口調で”それはあの子達の物だ” そこからの鮮明な記憶はあまりありません。ただ、とにかく無我夢中で車に戻り、とにかく全速力でその場を離れた事だけは覚えています。そしてそれからというもの、常に誰かに見られている気が治まらないんです。今でも事故の命日にはお供えに行くようにしています。」話し終えたAさんに質問を投げる「今でも違和感を感じるんですか?」
「そうなんですよね、ただ、仕事内容も相まってか、違和感自体には慣れて来ているのが自分でも不思議なものです。今では、あぁ、まだ許してくれないのか、そろそろ許してくれたっていいじゃん。くらいの心持ちになってきてるんですよね。でも、それでもあの日のあの感覚、今でも思い出せる鮮明な声。これだけは忘れようにも忘れられなく、どうしようもなく怖いのです。変な話ですよね」とAさんは笑う。私は一瞬、聞かない方が良いかとも思ったが、話を聞いて感じた一つの疑問を問うてみる。「今でもお供えを、との事ですが、供えた物はその後どうするのですか?」「どうって、置いておく訳にはいかないから持って帰りま、すよ…」言語化してAさんも質問の意図に気づいたらしい。沈黙の時間が流れる。

人間は人間の尺度でしか生きられない。もしかしたらその尺度は、結果として人ならざる物の逆鱗をなぞる事になっているのかもしれない。そんな事を思った話である。

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コメント(2)
  • 誰かがやらなきゃいけないけど、現実だけど、とても怖いです……。

    2025/10/26/22:56
  • スマホ常用者の感覚なんだろうなぁ…
    適当な位置で改行してもらわないと“文字の洪水”状態で、読みにくくて仕方がない。

    2025/10/29/04:49

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