また次の日、
エレベーターを降りて、部屋の方に曲がる。
『またおるじゃん…』
いつもは、外をみているそれは、
その日は、体ごとこっちを見ている。
『うそ…えっ?えっ?』
それは、体をくるっと回転させ、階段を降りてくる動作を見せた。
やばい、やばい、と思い、初日のように玄関に急いで入り込む。
母が、初日と同じ言葉で問いかけてくる。
どうせ言ってもわかってくれない、だけれど一部始終を話した。
『監視カメラでもつけとかないとあかんねー』
そんな、母と会話をしていると、
気がまぎれるだけでもいい気がしてくる。
その日の夜、
妹にもこの話をして、ふたりとも就寝をした。
『カツンカツン…(ハイヒールで廊下を歩くような音)』
妹と一緒の部屋は、廊下に面した部屋で、
音が響いてくる。
『あっ…やばい動かないわ』
金縛りにあっていた。
動かない体、でもその音はだんだんと自分の家に近づいてくる。
『カツンカツン……』
私の部屋のまえで足音はピタリと止まる。
『〇〇ちゃん、〇〇ちゃん!!!』
妹の名前を叫ぶぐらいの声で呼ぶが、妹は反応しない。
廊下に面した、小窓から黒いモヤが霧状になって、入ってくる。
その霧状は、部屋に入ってくるなり、人の形に形成されていく。
『〇〇ちゃん!やばい!たすけて!』
反応しない妹に助けを求めるが、何も返ってこない。
黒いモヤが私の体に覆いかぶさってくる、重圧感というのだろうか
息をするのすら苦しい。
自然と涙がこぼれ、殺されてしまうのではないかと、
変な考えが頭をよぎる。

























※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。