エレベーターを降りてからの一部始終を伝える。
『視えるってのも大変やね、ほら、ご飯できてるから着替えたら食べなさい。』
こんな話、普通の人に話しても、信じてなど貰えないのはわかってる。
けれど、妹とはちゃんと話ができる。
夜になり、布団に入ったタイミングで妹に今日の話をしてみる。
妹は、夕方ぐらいに帰ってきたがその時は何もいなかったみたいだ。
『明日、お姉ちゃんが帰ってくる頃に、私も玄関出てみる。』
一人で視えたそれは、気のせいだったのかもしれないが、
私より見える、妹が視えたらそれは人ならざる者だという事実になる。
あまり気にしないようにと思い、部活の疲れもあったせいか無事に就寝することができた。
次の日になる、
好きでもない授業を受け、部活を終えて、
自宅のマンションにたどり着く、駐輪場からあの螺旋階段を見上げる。
1階から8階の景色が目に入る、廊下を2人ぐらい住人が歩いている平凡な景色だった。
『よしっ!』
エレベーターに乗り込み、7階のボタンを押す。
『チィン…7階です』
降りて、右に曲がる、
『お姉ちゃん!』
後ろから、妹が呼びかける。
705号室前の廊下の方で、10分前くらいから待っていたみたいだ。
『なんもおらんから大丈夫だよ』
肩の力がすっと降りた、
『今日の夕飯ねー、から揚げが山盛りだよ!』
怖いとか、嫌だなって気持ちが一気にどうでもよくなった。
それから、数日たった日。
部活を終え、いつものように、エレベーターを降りて、右に曲がる。
『最悪…』
鳥肌とともに、視界にあの黒い女が入る。
自分に害があるわけではないので、
気にしないでおこう、と部屋に入る。























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