2年間、テープで塞がれていたポスト。ただ、それだけです。
本当に絶対それだけなのに、私は何故かものすごく気になってしまい、
中学2年生、別にそんな面倒な事をわざわざする意味なんてないですよ。でも、何重にも貼られたテープを一枚ずつ剥がす事にしました。
目的は分かりません。理想もない。
向かう先に何を求めていたのか、10分近くかけて粘着剤でベタベタになりながらも爪を立ててテープを剥がしていったんです。
ようやくそろそろ。
ラストだろうと思わんばかりの大きな一枚のテープを剥がしたとき、
ポストからはハガキが大量に飛び出てきたんです。
ただそれだけ。
「あーあー」
床に散らばった封筒をかき集めて、なにしてんねん。そう思いながら一枚一枚集めていたのですが、妙でした。
封筒やハガキの日付がそう遠くないんです。
なんなら並べてすぐに分かりました。
「頻繁に投函されてるやん」
近い日付がいくつもありました。
ですが、2〜3年分のハガキって事もなさそうな、片手で持てるぐらいの量です。
不良が原因なのか、大雑把な私はハガキを全部ゴミ箱に捨てようとしました。
ですが、ポストから出てきたのはハガキや封筒だけではなく、無数の葉っぱも散らばっていました。
「ん?」と思いながら葉っぱを手に取り、目線を上げて大量のテープを剥がしたポストを見ると、
ポストの中は大量の葉っぱで埋まっていたんです。
ポストの中全体を覆うように、葉っぱが沢山埋まっているポストの中にハガキを入れ込んでいたから、ハガキが勢いよく飛び出してきたんだろうと思えるぐらいに無数の葉っぱでした。
団地の五階から見ていた姿、
全身真っ黒のレインコートのような服を着て、道端で木から葉っぱをちぎってはポケットに入れる。
そんな習慣があった彼の事を思い出して一気に怖くなりました。
だけどもう引っ越し。
大丈夫なわけです。
引っ越した先は団地よりは綺麗で、遂に川の字ではなく、父親と二人部屋ではありますが、自分の部屋もできました。2階なのですが、念のため階段の数を数えたりもして。
「13階段じゃないから大丈夫」
聞きかじった知識で安心したりして。
だけど引っ越してからも定期的に団地に帰りたい衝動がありました。
























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