何となく、帰りたい。
母親の買い物に着いて行くのが日課だったのですが、
「ルートを変えて団地に寄ってもいい?」とよく聞いていました。
霊感によるものだと思われていたので、母には「絶対行かんでいい。関わるな」ときつく止められていました。
夢を見たんです。団地に帰る夢。
鍵はかかっていなくて、部屋に入ります。だけど、引っ越しているので部屋の中は空っぽです。何もない。
「なにしてんだろう」
夢の中、部屋でそう思った私は家を出る為に玄関扉を開けるのですが、玄関。
玄関扉を開けるのですが、玄関。
ずっと玄関扉があるんです。
夢の中、焦りながら玄関を開け続けていると後ろから顔を覆うように両手がすーっと伸びてきて、私の顔をバッと押さえ込む。
その際に汗だくの私は飛び起きて、とんでもない悪夢を見た事が忘れられなくて、団地を見てみたかったんです。
56棟、5階の団地のベランダを、玄関を。
しばらく経って、引っ越し先におばあちゃんを家に招きました。
もう大丈夫だからと。
ですが、ダメだったようで、
「あかんわ。階段に座ってはる」
隣人は着いてきてたようです。
ここで終わりと言いますか、あれから今日までの間に何度か奇妙な事は体験していますが、とびっきりの事はないです。霊を目視した事もないです。
でも、あの日から隣人は、霊である事が本当ならば、今はどこにいるんだろうと、この話をする度に気になっています。
私は実家から出ています。
隣人は実家の階段にいるんだろうか。それとも。
そんな事を思い出す、怖い体験です。























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