何でも、霊媒師さんとの事でした。
「隣に引っ越してきました。霊媒師をしてます」と言った具合に自己紹介してくれた年配のおじいさん。
除霊すれば良いだけだし、安く住めるからお得だと。
一週間ぐらい経ったら行方不明になりました。
後に、若い女性が引っ越してきました。ギャルのような、若くて陽気な人です。
一週間ぐらいで行方不明になりました。
この「行方不明」という表現ですが、詳しくはよく分かっていないんです。でも、ただ、いなくなった。
すぐに。
ですが、もう次は誰も引っ越して来なくなったんです。
「KEEP OUT」
と黄色にテープが玄関にバツ印のように貼られ、玄関の窓には段ボールのような紙で部屋の中が見えないように隠されてしまいました。
玄関扉にもKEEP OUTのテープ。
一階の、その棟に住む人達分のポストが並んだ中にあった501号室のポストはKEEP OUTのテープだけでなく、ハガキなどを投函できないように異なるテープで何重にも厚く蓋をするように閉じていました。
いよいよ本格的に不気味。
「つまりは住んでいたらダメなんじゃない?」
と家族会議があるほどまでには無数の奇妙な事が続いてはいました。
だけどお金もない。私が3年生の頃は父親は単身赴任でしたが5年生になる頃には単身赴任先の職場が倒産した事で、夫婦で居酒屋を経営していだのですが、決して裕福ではなかったので、子供3人育てられている時点で凄いとは思うのですが、毎月カツカツ。引っ越しなんて夢のまた夢のような感じでした。
中学生になって、私はグレました。
分かりやすく、調子に乗っていました。
両親が共働きなので毎日夜中まで遊んでいたし、家には殆どいなかったです。
生意気に、不良をやっていたのですが、それでも家の前、団地の一階に立ったならば、意を決して階段を猛ダッシュで駆け上がる。
いつまで経っても怖かったんです。
その頃には私が階段を上がったタイミングで蛍光灯が消えるのは当たり前。
狙ったかのように、逆人感センサーでもあるのかよって思うぐらいに一階に足を踏み入れたらチカチカと蛍光灯の明かりが揺らいで、時々パーン!と音を立てて消える。
その頃には玄関前に盛り塩を置いていました。
























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