呼吸が荒くなる。落ち着こうにも止まらず、むしろ肩の上がり下がりが激しくなっていく。
泣き叫ぶ声が耳を劈く。
俺は小さい何かを掴んでいた。怒りのような、しかし不安と恐怖が入り交じるような感情で手元を見る。
そこには娘がいた。
見間違えるはずもない、妻と共に家で待っている今年で3歳になる愛しの娘だ。
娘は恐怖で泣き叫んでいる。
悪戯をして叱ったときとは比べ物にならない程の表情と声量で。
ここまできたらどうなるか俺は理解していた。
文章に書くのも憚られるような内容なので、ここには書かないでおく。
また飛び起きた。時刻は午前3時過ぎ。
口の中に残る鉄錆のような匂いと食感を思い出し、俺はトイレで嘔吐した。
夢の中の話ではあるが、それでも娘を手にかけてしまった気になってしまい、吐きながら泣いた。
その部屋にいる気になれなかった俺は、精算機で支払いを済ますと車へ乗り込み、そのまま数時間かけて家へと帰った。
この話はこれで終わりだ。
その後は同じ夢を見たりはしていない。
ただネットとかであの絵を見かけるとあの夢を思い出してしまうのでなるべく見ないようにしている。
一つだけ変わったことがあるとすれば…
あんなにパパっ子だった娘が、俺が近づくと泣き出すようになったことだ。
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怖
たしかに、ゴヤは寝室に掛けておきたい絵じゃないですねー
オチまで読むと「裏返した絵を再度ちゃんと見てみたら、ただのどうでもいい風景画だった」みたいなことを妄想しちゃいます