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心霊

真代さんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

人のフリをする何か
長編 2025/09/19 11:16 5,010view
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『人のフリをしている』
『連れていかれる』

宮守はきっと、あの男に取り憑かれたんだ。
誰一人、病室から出て来てくれない。
しかしその時だった。
廊下を疾走する靴の音、向こうの曲がり角から、元々の私の主治医の先生が飛び出してきて、ベッドを反対から押して止めた。
次々と廊下を走る音が聞こえ、何人も看護師さんやお医者さんが出てきてそれに加勢する。
「絶対にここから先には行かせない!」
「りえちゃん、大丈夫だからね、」
たくさんの人達に励まされ、私はさらに泣いた。

宮守も10人弱が相手では分が悪いのだろう。
少しづつ押され始め、

「オペをかイしすすする」
「おはようゴざイます。田中先生」
「メス、汗」

などと言っていたが、しばらくすると押すのを辞め、
首を左右にブンブン振り回しながら、廊下の闇に向かって走り去っていった
私は泣き疲れて眠りに落ちた。



次の日の朝、元々の私の主治医が来た。
「昨日のことは申し訳ない、大丈夫だったか?」

「君がいきなり僕の話を無視し始めたから、まさかとは思っていたんだけど……もっと早く対処するべきだった。」

的な事を言われた。この先生の話を無視した記憶は無いが、昨日のようなことがあっては、私の記憶など当てにならない。

そんなことよりも、宮守先生が心配だった。

「宮守先生は取り憑かれちゃったの?どこ行っちゃったの?生きてるの?」という風に捲し立てるように聞いた。
あの男の霊のことも伝えた。

主治医は難しい顔をして、こう言った。

「カーテンから見つめてくる人は”見守りさん”って呼ばれてて、全く害は無いし、むしろ病室に出たって患者さんはすぐ回復して退院していくよ」

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