最近怪談ブームの僕は、よく行く行きつけの怪談バーがあるのだが、そこで出会った精神科医の方に、とても興味深い話が聞けたので紹介する。もちろん本人に許可は取れた。
まず、背景として、うつ病患者などに日記を書いてもらう。という治療方法がある。難しい話だったので詳細は省くが、そっちに興味がある人は各自で調べてみてくれ。で、今回主役の患者さんは労働環境が悪く、軽度〜中度のうつ病だったらしい。それで、抗うつ薬と処方と、日記を書く治療を行っていた。通院の度に、日記を見せてもらう。という方式をとっていたみたいだ。その先生によると、その患者さんはいつも、普通の日記だったそうなんだ。でも、ある時病院に訪れて、「俺を隔離してくれ」なんて言い出すもんだから、どうしたんだ?って聞いたら日記を見てくれれば分かる。と。今から読んでもらうのは、そのお医者さんから聞いた、日記の内容を、なるべく本物に近いように俺が再現した文章だ。
*
朝目が覚めて会社に行く支度。気分は最悪。
抗うつ薬を飲んだ。
頭が痛かったので、ロキソニン。と思ったが切らしてしまっていたので、仕方なく、その辺にあった風邪薬っぽいのを飲んだ。
その瞬間だった。ニュース流してたテレビが砂嵐に変わった。ん?って見てたら、場面が切り替わって、砂漠の映像になった。左上には、”LIVE”の文字が。ああ、中継なんだ。そう思ってたけど、妙に変だった。
画面の真ん中辺りに、なにも着てない黒人の少年が写ってた。放送事故?って見てたんだけど、何も変わらない。そしたらその少年がカメラに気がついたのか、こっちを指さして、何語かもわからん言葉で、何かを喋り始めた。何だこの映像。って、テレビに釘付けになってると、画面右端の方に、何か映り込んで来た。
人の顔みたい。でも、顔のパーツは下手くそな福笑いみたいに、バラバラ。かなり薄気味悪くて、なんだこれ。なんだこれ、って心臓がバクバク。その背景にはクラシック音楽がずっとかかってて、映像とミスマッチすぎた。そうこうしてたら、右端の変な顔のやつがどんどん少年に近づいてった。そんで、全体がテレビに映ったんだけど、これがもう、こんな化け物だった。(そこには絵が書かれていたとの事だった。お医者さんによって語られたのは、無数の虫の脚に似た脚部を持つ、人間に似た怪物。顔のパーツは下手な福笑いのようにバラバラ。)
そしたらその化け物が少年を叩きつけて食い始めた。
えっーーってなって、次の瞬間にはまた砂嵐。で、元のニュースに戻ったんだけど、色味がおかしい。全体的に、変な色になった。セピア調って言うのかな?
そんで、文字が全部文字化けしてた。
莉頑律縺ョ繝九Η繝シ繧みたいな感じ。なんだこれ、なんだこれってなって、でも会社には行かなきゃって思って、何とか仕事したけど、目に見える言語が全て文字化けしてるし、色もおかしくて、仕事ではミスしまくった。ほんと、理不尽だよな。
家に帰ってきてから、ずっと怖かった。視線が。
視線がずっと隙間から感じた。視界もおかしいままだったし、疲れた。今日はもう寝よう。起きたらきっと、治ってる
起きても、視界は何も変わらない
色味のセピア調は酷くなってて、テレビのニュースキャスターの目が真っ黒にしか見えない。
視線は相変わらず感じる。ていうか、いる。隙間に。
あの、テレビで食われた男の子。こっちをずっと見てる。なんだこれ、なんだこれ。怖い。
怖かったけど、うんこ漏らす訳には行かないから、トイレ行った。うんこじゃなくて、沢山の虫の死骸がでた。俺のケツから。なんだこれ。ってなって、吐いた。口からも虫の死骸がでた。
さすがに仕事休もうかと思ったけど、上司の方が怖いので、会社に。外に出たら、余計おかしいことに気がついた。視界の右端に、ずっとなんかいる。
黒いぽやぽやしたのだったけど、じわじわ大きくなってきて、それが何か分かった時、会社から逃げた。
外にいたらいけない気がした。実家に帰って、親に説明しようか迷ったけど、誰も信じてくれそうにない。
視界の右端、やっぱりアイツだった。テレビに映った、あの化け物。こっちの方をずっとみてやがる。顎ら辺にある目で。そいつの目も真っ黒だった。
目を瞑っても、近づいて来てるのがわかっちゃった。臭いから、死臭がすごくて、鼻が曲がる。
逃げ帰ってきて、なにか食おうにも、死臭が酷くてなんにも食べれない。食べようとはしたけど、その場でゲロ吐いた。また虫がでた。
その様子見て、あの男の子が笑ってる。声が聞こえた。
臭い。臭い。臭い。
こわいこわいこわい。
アイツ、もうすぐそこじゃん
明日、病院行こう。
























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