これは自分が小学生のとき、実際に体験した不思議というか気持ち悪い出来事です。
当時、家族で住んでいたのは、兵庫県の某ダム池へ向かう山道の途中にある別荘みたいなログハウスの家でした。
山の中腹にある、隣の民家まで300メートル以上離れた、ほとんど「ポツンと一軒家」みたいな場所です。
冬には雪が積もり、その日は10センチほどの雪がうっすら残っていました。
その家へは急な坂道を登らないといけなくて、車で上がれるのはうちの親父のジムニー(四駆)くらい。
普通車じゃスタックするような場所でした。
その日、妹と一緒に学校から歩いて帰ると、家の中に妙な違和感がありました。
ダイニングの床一面に、見たことのない絨毯が敷かれていたんです。
大きさは8畳ほど、深紅と金の模様が入った、いかにも高級そうなペルシャ絨毯。
うちのダイニングには重い一枚板の円卓テーブルがあり、その下まで絨毯が敷かれているということは、テーブルを一度分解して、ダイニングから出さないと無理なんです。
妹に聞いても「知らない」と言うし、仕事中の父と母に電話で聞いても、「何それ?買ってないよ」とまったくの他人事。
なんとなくゾワッとして、もう一度玄関を出て、家までの道を振り返ってみました。
でも――
雪の上には、俺たちが歩いてきた足跡以外、何もなかったんです。
車の轍も、人の足跡もゼロ。
大きな絨毯を持ってこれるとしたら、2トントラックでも使わないと無理なサイズなのに。
そのあと、帰ってきた両親が心配して、地元の駐在さんに来てもらいました。
その駐在さんも四駆のパトカーで来ていて、「この坂道じゃ、普通の車じゃ絶対に無理や」と言ってました。
絨毯はそのまま駐在さんが持ち帰ってくれましたが、その後、誰からも連絡はなかったそうです。
落とし物の届け出も、誰かが取り戻しに来ることもありませんでした。
あの日以来、同じようなことは一度も起きていません。
でも、今でも雪が降ると、ふとあの絨毯の模様を思い出すことがあります。
「あれ、誰が、どうやって、なんのために置いていったんだろう?」
人なのか霊なのかそれが全く分からないのが、一番気味が悪いんです。























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