昔の話です。
大学生だった当時はホントにクソガキで、ホラーブームもあって肝試しばっかしてました。
その時も悪友のAと二人で肝試しに行く事になって、地域では有名な廃屋に忍び込みました。
Aはビデオカメラ回して、俺は懐中電灯持って。
ノリノリで探索を開始しました。
「おーい!誰かいるなら出てこいよー!そのほうがおもしれぇし!」
Aは調子に乗って、誰もいない部屋に向かって叫びました。俺も負けじと
「そうだ!俺らを呪い殺せるならやってみろよ!」
とか言ってました。
ですが、家の雰囲気はなんと言うか、かなり異質で、ただ事ではない空気が立ち込めていました。
流石に、Aも俺も怖くなってきてました。
その時でした。
玄関の扉が開く音がしたのです。ガチャ……キィーって。
こちらに向かってくる足音や、人間の声でもすれば、生きた人が俺らを叱りにでも来たのだろうと思えたのですが、不気味なことに、それ以上なんの音もしません。その時のAと俺の脳内では同じ光景がイメージされていたはずです。
玄関に、”何か”が居る。と。
Aはどうか知りませんが、俺は膝が震えて、冷や汗をダラダラ流していました。
でも、少しでも音を立てれば、ソレに気が付かれてしまい、やばい事になりそう。そう思って必死に音を出さないように堪えました。
俺たちは玄関から扉1枚隔てた部屋にいたので、玄関は見えません。
どうするべきか、考えましたが頭は回りません。
その時、Aが囁きました。
「……せーので逃げるぞ。窓から。」
Aの冷静さに救われて、無事に廃屋から脱出。
命からがらAの家まで逃げ込みました。
家まで逃げてくると、怖かったのもどこかへ飛んでいってしまい、二人で大笑いしたのを覚えています。
ひとしきり笑い尽くした後、そういえば、とAが切り出しました。
「録画してるの、見てみようぜ。」
「えっ、あんな状況で撮れてたの?」
「何言ってんだよ。家に着くまでずっと回してたよ」
と、Aは笑いました。
ドキドキやワクワクが混じった不思議な気持ちで再生ボタンを押して、さっきはやばかったなあ!とか談笑しながら見始めました。

























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