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心霊

Necroidさんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

灼ける身体
短編 2025/08/01 10:27 1,442view
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10年以上前の話です。

当時、小学生だった私は家族と一緒に海へ出かけていました。

地元の海で、田舎ということもあり、人はそれほど多くなかったと思います。

海ではしゃぎ疲れた私は、家族と離れて、休憩がてら砂浜や岩場を一人で散策していました。

しばらく歩いていると、茂みの奥から「おーい、おーい」と、男の人の声が聞こえてきました。

その声は生気がなく、ほとんど唸り声のようなものであり、まるで無意識の中で人を呼んでいるような声でした。

不気味に思い逃げようとしましたが、茂みの奥には何があるのだろうという好奇心から、見てみることにしました。

そこには、砂風呂をしているのか、頭だけを出した20代ほどの男性がいました。

男性は1人で砂の中に埋まっており、周りには男性を埋めたであろう人も、陽の光を遮るパラソルさえもありません。

きっと、この太陽がジリジリと容赦なく照りつける真夏日に、放置されているのだろうと思いました。

男性はかなり顔色が悪く、ほぼ意識がない状態でした。恐怖と混乱の中で「このままでは死んでしまう!」と思い、パニックになっていました。

急いで近づき、男性の上半身付近を思い切り掘りました。

しかし、どこにも身体は見当たりません。

そのとき、男性が「ん゛んーーーーー」とうめきながら泡を吹き始めました。

もうそのときには私は恐怖で極限状態になっており、気づけば砂を掘るのをやめて、その場から逃げていました。

この事は家族には言いませんでした。

もし本当にあの人が死んでいたら、助けなかった私が殺したようなものだと、子どもながらにそう思ってしまったからです。

時が経ち、大人になった今、何気なくYouTubeを眺めていたときのことです。

とある事件を解説する動画が流れてきました。

大学のサークル仲間にふざけて”縦に埋められた”20代の男性が、身動きの取れないまま熱中症で亡くなった──

あの砂浜での事件でした。

あの男性の顔、こびりついた砂、焦点の合わない乾いた目、忘れません。

しかし、私は男性を助けなかったことを後悔していません。

なぜなら、男性が亡くなった日は、私が発見した日よりもずっと前のことだったから。

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