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心霊

真代さんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

バイト先の怪談
長編 2025/07/31 20:27 4,166view
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「あ、俺行ってきます。」

「おう、頼んだぞ。私はここでちゃんとお前が接客しているか、しっかりと監視しているからな。」

とか言って、実際はスマホで韓ドラ鑑賞だろう。
意外と心は乙女なんだから。全く。

ダリィな……漏れそうになる心の声を抑え込んで、バックヤードから店の方に出る。

客はタバコとストロングゼロだけ買って、すぐに出ていった。

この時間に来る客はみんな愛想が悪いな。
先輩の話の続きでも聞くとするか。ダルいけど。

バックヤードに戻って、韓ドラを見てる先輩に、続きを話してください。と言おうとして一瞬固まった。

先輩が居ない。

「はぁ……またサボりか? 」

合コンが上手くいったとか何とか言っていたし、店の外で男と通話でもしているのかもしれない。本当にやれやれだ。そもそも、俺が先輩のタイムカードを先に切っておくって、犯罪じゃ……

その時、またもや一瞬固まった。

何となく視線を送った監視カメラの映像に、さっきはいなかった客の影が写っていたからだ。

何故かいつもより画質が荒く、ボヤけてよく見えない。

ハッとして、慌てて店の方に戻った。

店に戻ると、更に驚かさせられた。

入口の自動ドアに入ってすぐのところで、直立不動で”その”客が固まっていた。

古ぼけた格好をしている女だった。
和服と言うやつだろうか。

何故か顔はぼやけて見えなかった。

全身の毛穴から汗が吹き出すのを感じた。

バックヤードに戻って、裏口から逃げよう。
……そう思ったのだが……

体が銅像になったかのように動かない。指先すらも動かせない。

寒い。なんだこれは。

視界がどんどん遮られていき、和服の女以外の景色がどんどんぼやけてくる。

そして、ゆっくりと、その女はこちらに歩みを進めてきた。

逃げなければ。このままだとマズイ。

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