肝試し

大学生のＴさんが、サークルのメンバーと合宿に行ったときの話しである

夜、肝だめしをしようと意見がまとまった・・・

近くの山に長い石段を上がる古い神社がある

男女ペアを組んで、順番にその石段を上がって
頂上のお社の前に小石を置いて帰るという他愛のないものだ

さっそくペアを決め、順番をクジで決めたが
Ｔさん一人だけ余ってしまった・・・

「いいよ、俺、ひとりで大丈夫だから」
っと、内心怖いくせに女の子たちがいる手前、虚勢を張った

しかもクジでは一番後というので、また嫌な事が重なった

日が暮れた頃、一組目が恐る恐る手を取り合って、神社へ向かった

一方脅し役というのがいて
石段のまわりの雑木林や藪の中に潜んでいて
女の子を脅かしたりする・・・・

さて、いよいよ最後、Ｔさんの番になった

「行ってくるぞ！」っと胸を張って
ひとりで、暗がりの長い石段を上がっていく

中ほどまで上がった頃、ころころころっと小石が足元を転がってきた

一瞬　ビクッっとしたが・・・

（ああ、脅し役のやつらが脅かしているつもりだな）

と、まわりに友人たちがいると思うと、かえって勇気が湧いてきた

足どりを早めてなおも石段を上がっていくと
まわりの雑木林がざわざわと騒々しくなり
あたりからぴゅんぴゅんと小石が飛んでくる・・・

それがお社に近づくにつれ増えてきて
とうとう、Ｔさんの身体に当たるようになる

（なにも当てることないだろう）っと思いながら
ようやく石段を上がりきり、お社の前に石を置いた

さて、帰ろうと振り向いた途端・・・・

そこにはＴくんを見つめる無数の子供の顔、顔、顔・・・・