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呪い・祟り

にゃんこさんによる呪い・祟りにまつわる怖い話の投稿です

リゾートバイト
長編 2025/07/13 08:01 16,956view
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そんでAが俺を光の場所へ連れていこうと腕を掴んだ時、体の硬直が半端なくて一瞬死んだと思ったらしい。
本気で死後硬直だと思ったんだって。

BはBで、恐怖で歯を食いしばりすぎて、歯茎から血を流してた。

Aだけは、やっぱり姿を見ていなかった。

あと、そいつはそこから遠ざかって行く時カラスのように「ア゛ーっア゛ー」と奇声を発していたらしい。
その声は、Aだけが聞いていたんだけど。

そいつの2度の襲来によって、その後の俺達の緊張の糸が緩むことはなかった。

ただ、神経を張り巡らせている分体がついていかなかった。
みんな首を項垂れて、目を合わすことは一切無かった。

Bは、催したものをそのまま垂れ流していたが、Aと俺はそれを何とも思わなかった。

あんなに夜が長いと思ったのは生まれて初めてだ。
憔悴しきった顔を見たのも、見せたのも、もちろん人でないものの姿を見たのも。
何もかも鮮明に覚えていて、今も忘れられない。

おんどうの隙間から光が差し込んできて、夜が明けたと分かっても、俺達は顔を上げられずそこに座っていた。
雀の鳴き声も、遠くから聞こえる民家の生活音も、すべてが俺の心臓に突き刺さる。
ここから出て生きていけるのか、本気でそう思ったくらいだ。

本格的に太陽の光が中に入りこんできた頃、遠くからこっちに近づいてくる足音が聞こえた。
俺達は完全に身構え体制に入った。

足音はすぐ近くまで来ると、おんどうの裏へ回り入り口の前で止まった。

息を呑んでいると、ガタガタっと音がし、「キィーッ」と音を立てて扉が開いた。

そこに立っていたのは、坊さんだった。

坊さんは俺達の姿を見つけると、一瞬泣きそうな顔をして、
坊「よく、頑張ってくれました」
と言った。

あの時の坊さんの目は、俺一生忘れないと思う。
本当に本当に優しい目だった。

俺は、不覚にも腰を抜かしていた。
そして、いい年こいてわんわん泣いた。

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コメント(4)
  • 果てしなく長い・・・・

    2025/07/28/14:31
  • がちこわかった 無事でよかったです

    2025/08/20/09:07
  • 長かったけど最後まで読みました

    2025/08/29/01:30
  • またしても2ちゃん引用…

    2025/09/20/17:21

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