先日、「すりガラスの向こう」という小学生時代のちょっと怖い思い出話を書かせていただきましたが、それでもうひとつ、思い出した話があるので書き残しておきたいと思います。
小学生時代に3度引っ越しをして、その2回目の家の話を前回書かせていただきましたが、今回もその同じ家での話です。2階建ての庭付き一戸建て。要は借家だったんですが、ある時、両親の寝室の床がなんだか沈む、という話になりました。歩くと床が沈むんです。
これは床板が腐っているんじゃないかということで、畳を剥がして大工さんに診てもらったら、やはりそうだということで、床板を張り替える工事をすることになりました。
ボクは学校に行っていたので、どんな工事をしたのかは見ていないのですが、帰宅してほんとにびっくりしました。家に入って寝室をのぞくと、そこには床の無くなった部屋。木の梁のようなものがあるだけで、そこから下は・・・これホントの話なんですが、床板を剥がしたら地面があると思うじゃないですか、普通。・・・それが、がっぽりとえぐれて、洞窟のように陥没していたのです。その土は黒く湿っており、底の方には黒い水が溜まっている異様な光景でした。
匂いもひどく、ドブのような匂いというか、卵の腐ったような匂いというか、つまり硫化水素系の匂いがしていたのです。深さは2メートルはいかないまでも、かなりの深さまでえぐれており、それが床全体に広がっていました。
家の中にそんなものがある光景なんて、なかなかお目にかかれないと思いますが、当時のボクもそれを興味津々に覗き込んでおりました。
すると横から母親がやってきて、こう言ったんです。
「床板を剥がしたら、こーんなデッカイ虫がいたんだよ、キモチワルーイ」と。
そう言って手で示したサイズが30センチほどもあり、それはいったいどんな虫なのかと尋ねると、体は銀色で、シミのような形だったというのです。
シミと言ってもあんまりなじみがないので知らない方もいるかもしれません。漢字で書くと紙の魚と書いて「紙魚(シミ)」というのですが、平べったいエビのような体で、本の大敵とも言われる虫です。よく古い書物を年に一度くらい天日に干して「虫干し」すると言いますが、その虫干しの虫はだいたいはシミのことを指しています。
でも、そのシミという虫はせいぜい大きくても1センチくらいです。
それが、30センチほどもあるというのですから、イメージ的にはマイクラに出てくるシルバーフィッシュのイメージでしょうか。ちなみにシミの英語名がシルバーフィッシュなので、まんまですね。
母の話では、見つけた瞬間に地面の穴の中を素早く逃げて行き、もう二度と現れなかったと言います。そんな虫、日本には絶対いないと思うんですが・・・これも一種のUMAなんでしょうか。
まぁ今考えれば、母親が子供にちょっとしたイタズラを仕掛けてそんな話をした・・・とも思えますが、普段からそんな気の利いたイタズラをするような人でもなかったので、なんだか今でも不思議な気分です。
あぁ・・・母が亡くなる前に、あのシミの話は本当だったのかと聞いておけばよかったと、
今さらながらにモヤモヤしています。(笑)

























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