ある冬の夜、雪がしんしんと降り積もる中、友人と二人で人気のない山道を歩いていた。凍えるような寒さで、話し声も雪に吸い込まれていくようだった。
しばらく歩くと、私たちの前に真新しい足跡が続いているのを見つけた。
「あれ? 誰かいるのかな?」
と友人が言った。
辺りは真っ白な雪と木々しかなく、人影はどこにも見えない。少し不気味に感じながらも、私たちはその足跡を辿ってみることにした。
足跡は私たちのものより少し大きく、古い登山靴のような形をしていました。それがどこまでも、まるで私たちの行く先を導くように続いていた。曲がりくねった山道を、私たちはずっとその足跡を追いかけた。
「おかしいな、さっきからずっと同じ足跡だよな」
友人が立ち止まって言った。
「言われてみれば、確かに。。。」
足跡の間に私たち以外の新しい足跡は見当たらず、この雪道を歩いているのは、その足跡の主と私たちだけのようだった。
私たちはさらに奥へと進みました。やがて、足跡は小さなほこらの前で途切れていました。ほこらは苔むし、古びていて、長い間誰も訪れていないかのようだった。
「ここで終わりか…」
友人がそう呟いた時、私ははっとした。
そのほこらの周りには、私たちの足跡以外、一つも足跡がなかったのだ。 ほこらに向かう足跡はそこまでで途切れ、そしてほこらから戻る足跡も、新しくほこらから伸びる足跡も、どこのもなかった。
私たちの足跡は、ほこらの前で途切れたその足跡の周りをぐるりと囲むように続いていた。
では、私たちが追いかけてきたその足跡の主は、一体どこへ消えたのだろうか。
私たちはその夜、何かに誘われるように、ずっと誰もいないはずの足跡を追いかけていたのだろうか。
未だにあの足跡の謎は解けていません。そして、あのほこらの前で途切れた足跡が、今でも雪の降る夜には、私たちの前に現れるような気がしてならなかった。
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