―――違う!!
先ほども、起きたはずのMが肩の上で身じろぎ一つしないことに違和感があった。
しかし、二度目の声ではっきりと分かった。
今の声は俺の頭の真後ろから聞こえた。
そこにMの頭はない。
Mの頭は左肩の後ろにあるのだ。
「後ロ向イテ」
声を無視して急ぎ歩を進める。
慎重さは捨てて可能な限り速く、転んでもいいが後ろは絶対に見ないことを心の中で誓う。
「止マッテ」
抑揚のないその声は確かにMの声だが、とても生きている人間のものとは思えなかった。
「「止マッテ」」
M以外の声が混ざった。
男性の太い声が重なる。
「「「止マッテ」」」
今度は女性の声も。
霊感のない俺には何者の気配も息づかいも一切感じられないが、声だけがそこにある。
自分の鼓動と呼吸と足音でうるさい中、ぴったり同じ真後ろから明瞭に声だけが聞こえる。
「「「「止マッテ」」」」
もはや老若男女の判別がつかないその声は、著しく生命を害する危険をは孕んでいるように思えた。
一方で声を掛ける以上の事はしてこないため、都合よく”振り向かない限りは何も出来ない”と決めつけて前に進むことだけに集中した。
前方へと引き寄せられる感覚は進むほど強力になっていき、それに助けられ歩く足はより速くなりついには走りだしていた。
上へ登る道はいっこうに見つからなかったが前方にはまた別のトンネルが見えた。
先日車で通った時は死角となっており見えなかったがダム底のトンネルは一つではなかったのだ。
このトンネルは水位が下がっても完全には露出しておらず水が残っていたが、前に進むこと以外に選択肢はないのだと思い直し一段と足に力を込める。
「「「「「くぁwせd止マレrftg後ロ向ケyふじこlp!!!」」」」」

























こわ~~~~~
投稿主さん
奇妙山→現在の知明山かな
もしあってたら奇妙山神教間歩で調べてみて。東大寺のお守りは最高のチョイスだったかもね